研究課題/領域番号 |
16K01419
|
研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
紺野 啓 自治医科大学, 医学部, 准教授 (00323139)
|
研究分担者 |
山越 芳樹 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (10174640)
谷口 信行 自治医科大学, 医学部, 教授 (10245053)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | せん断波 / 伝搬速度 / 組織弾性 |
研究実績の概要 |
本研究は臨床研究であるため、研究開始に当たる本年度は、まず本学の臨床研究倫理審査委員会に研究許可の申請を行った。審査は、当初は予想していなかった観点からの問題点の指摘により難航を極め、主として研究対象者の研究参加募集手続きについて大幅な研究計画の変更を迫られることとなった。最終的に研究開始の承認を得ることはできたが、研究対象者の研究参加募集手続きの大幅な変更が付帯条件とされたため、研究参加者募集に先立って、あらかじめ研究への協力が得られる診療科を多数募り、個別に説明・交渉して協力を取り付けることが必要となった。このため研究開始承認後から対象診療各科に対し個別の説明・交渉を順次行うこととなり、これを完了した。 一方、本研究では、研究のための検査・計測は、保険診療の範囲で行う検査に続けて行う計画であるため、研究参加者に対し両者を可能な限りスムーズに行い、検査全体の時間を短縮することは研究倫理の観点からも重要である。そこで次に予備的な研究として実際の検査・計測を行い、当初の計画通りにスムーズに進められるかどうかを検討した。この結果、実際の検査・計測には研究計画時に推定していた以上の時間が必要であり、本研究の安定的な遂行のためには、研究参加者および研究者双方の負担軽減が必要であることが明らかとなった。このため現在、検査・計測環境の効率化・最適化を目指して、検査装置と環境の整備を進めているところである。 また上記過程においては、工学的な問題点もいくつか明らかとなった。こちらについては、研究分担者による装置・手法の改良が順次行われており、手法としての熟成も進みつつある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究開始にあたっての臨床研究倫理審査において、研究参加者の募集手続きについて大幅な変更を迫られ、倫理委員会との交渉も含めた見直しに約3か月という長期間を要したことが研究遅延の第1の原因である。 またその結果、研究開始時に、研究に積極的な協力が得られる診療科をあらかじめ募り、各々に詳細に説明して十分な協力を得ることが研究承認の付帯条件とされたが、実際に対象となる診療科数は11と多数のため、個別の説明には多くの時間を要することとなった。これが第2の原因である。研究開始許可後、対象診療科毎に順次説明・交渉を行ってきたが、最近ようやくこれを完了した。この結果現在は、説明を終えた協力診療科の患者について、研究参加の募集が可能な状況となっている。 一方、上記研究倫理審査の承認後、研究責任者および分担者の所属部署の要員の大幅減もあって、研究実施のための具体的な方法(特に実際の検査と計測方法)についても見直しを迫られる状況となった。予備的な研究を施行したところ、当初の計画通りの方法では検査・計測に想定外の時間を要することから、研究参加者および研究者双方の負担が大きいことが明らかとなり、検査装置と環境の改良を余儀なくされることとなった。これが第3の原因である。現在、両者の改良が進行中で、近日中に改良型のシステムにより最適な研究環境が構築される予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの研究結果から明らかとなった、本研究の安定的な推進に必要な研究参加者および研究者双方の負担軽減を実現する効率的な研究システム・環境は整備されつつある。今後は実際の検査・計測が当初の計画よりもスムーズになることで、対象症例数と計測データの順調な増加が見込まれる。結果として研究全体の進行が加速され、現在の遅延も挽回できるようになるものと期待している。 次年度は可能な限りのデータ収集を第一の目標として研究を行うが、これと平行して研究分担者による装置・手法の改良も進められることから、収集したデータは順次解析することとし、装置・手法の改良へのフィードバックと、新たな方向性への展開をも同時進行させたいと考えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度は研究開始年度であり、研究開始のために本学臨床研究倫理審査を受審する必要があったが、研究開始許可を得るまでに長期間を要したこと、その際の付帯条件により、研究開始のための準備に長期間を要したこと、研究開始後の予備的な研究結果から、検査・計測方法についての見直しを迫られたことなどにより、研究が大幅に遅延しているため。
|
次年度使用額の使用計画 |
予備的検討結果から得られた、本研究を安定的に推進していくための問題点は解決に向かっており、次年度は当初の計画よりもむしろ研究の進展速度が速まることが予測される。したがって次年度の研究では、研究費がむしろ不足気味となることが予想され、これを本年度生じた次年度使用額で補充する必要がある。結果的に研究の遅延も解消に向かうものと考えられる。 また次年度は、可能な限りのデータ収集を研究の中心に据えるが、これと並行して、収集したデータの解析も順次進め、装置・手法の改良にフィードバックするとともに、新たな手法への展開も模索する。これにも次年度使用額を充てる必要がある。
|