研究課題
悪性腹水でCARTを施行した患者の腹水は癌細胞の浸潤や活性化された白血球の影響などにより、TNF-αやIL-6など炎症性サイトカインが著しく高値であった。CARTの腹水精製工程では、アルブミンなど自己の有用なタンパク質に付随し炎症性サイトカインも濃縮され、再静注後に発熱など炎症反応が誘発される。我々は、腹水を従前以上に精製する処理法とディバイス作成に着手し、昨年度は悪性腹水中の酸化修飾アルブミンを還元型へ転換させる方法を構築し論文投稿した。最終年度は、更なる腹水成分の精製として透析アミロイドーシス治療に適応されるβ2ミクログロブリン吸着カラムに充填されるヘキサデシル基吸着体で悪性腹水の炎症性サイトカインを吸着処理を試みた。その結果、吸着処理は腹水のIL-6濃度を半分程度に減少される事を明らかにした。さらに、吸着処理した腹水を体内へ再静注した際の炎症抑制効果を検証するため、ヒト肝臓癌細胞(HepG2)株を用いた添加培養実験を行い、急性相反応蛋白質SAAとヒトアルブミンの遺伝子発現解析を試みた。その結果、ヘキサデシル基吸着体に灌流させた腹水はSAA発現の抑制する一方でアルブミンの遺伝子発現を亢進させる事を明らかに。この成績(Suppression of inflammation during cell-free concentrated ascites reinfusion therapy (CART) using a blood purification device. )を12th World Congress of the International Society for Apheresis and the 40th Annual Meeting of Japanese Society for Apheresisで発表しTherapeutic Apheresis and Dialysis誌へ投稿した。
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Therapeutic Apheresis and Dialysis
巻: 23 ページ: 242-247
10.1111/1744-9987.12827
巻: 23 ページ: 237-241
10.1111/1744-9987.12821