研究課題/領域番号 |
16K01434
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
山崎 正志 筑波大学, 医学医療系, 教授 (50281712)
|
研究分担者 |
原 友紀 筑波大学, 医学医療系, 講師 (30431688)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 医療機器 / レギュラトリーサイエンス / コンビネーション製品 |
研究実績の概要 |
ワイブル統計法のスクリュー強度固着評価への応用について、家兎モデルを用いた解析を論文にまとめて投稿した。成熟雄日本白色家兎70羽140肢の脛骨近位に経皮的にAp-FGFコーティング(Ap-FGF群)、Apコーティング(Ap群)、nonコーティング(Ti群)チタンスクリューを挿入し4週で抜去し,組織評価(HE染色)で炎症を認めない52羽67肢に対して、スクリュー抜去後の骨組織でスクリューの骨被覆率を計測した.3群を更にFGF (-): Ti+Ap、及びFGF (+): Ap-FGFの2群に纏め検討した.統計学的検討にはt検定およびWeibull分析を用いた.<結果>骨被覆率の平均値はFGF(+):88.6±4.4% (n=35)でFGF(-):83.0±9.5% (n=32)より有意に高かった(p=0.017).FGF(+)群の骨被覆率は0.79~0.94の狭い範囲に集中するのに対して、FGF(-)群の骨被覆率は0.64~0.98で低骨被覆率側にすそ野を引く分布であり、骨被覆の不良発生確率が高いことを示した。そこで、骨被覆率63%以下を骨形成不良と定義して骨形成不良出現確率をWeibull 分析で求めたところFGF(+):2.7x10-4, FGF(-):0.05(Ti:0.05, Ap:0.06)となった。なおWeibull分布は直線であった。<考察および結論>FGF(+)とFGF(-)の骨被覆の平均値では65%の差であっても骨形成不良出現率ではFGF(+)がFGF(-)の約1/600という低値となる.FGF-2を含むAp-FGFコーティングには安定した骨形成作用があり、スクリュー周囲の骨形成不良のリスク率を大幅に低減できる事が示された.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では4つの目標を設定しており、今年度はその1つ目であるワイブル解析による評価法の開発に取り組んだ。コンビネーション製品の評価法開発に資するため、スクリューの固着強度をワイブル分布を用いて解析する手法を試み、当該モデルにおいては評価できることがわかった。論文を作成し、投稿することができた。医療機器の不良品発生率という低確率事象を解析できる手法を見出したことで、今後行う臨床試験でもこの手法を用いることができる可能性が示唆された。次の目標であった凍結乾燥技術の開発、製造法の検討にも取り組み、凍結乾燥後も自主企画を満たすことを確認した。残りの2年で残る2つの課題も解決できる見込みであるため、研究はおおむね順調に伸展していると判断している。
|
今後の研究の推進方策 |
H29年の予定としてワイブル解析をヒトに埋入されたインプラントのゆるみの評価に応用するため、臨床試験に先立ち、画像解析データを用いる観察研究を計画した。(1)橈骨遠位端骨折で創外固定治療を受けた患者の挿入トルク・抜去トルクという力学データの解析、(2)腰椎後方固定術を受けた患者の椎弓根スクリューの術後掲示的な画像変化を連続変数としてワイブル分布で解析できるか試みる予定とした。また臨床試験に先立ち、アパタイトFGF-2スクリューの凍結乾燥技術とそのQMS文書、手順書の作成にとりかかる。H30年に予定している臨床試験が行えるよう準備を進める。
|