研究課題/領域番号 |
16K01443
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研究機関 | 公益財団法人日本分析センター |
研究代表者 |
畢 春蕾 公益財団法人日本分析センター, その他部局等, 研究員(移行) (80647321)
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研究分担者 |
熊田 博明 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (30354913)
中井 啓 茨城県立医療大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (50436284)
山口 友理恵 公益財団法人日本分析センター, その他部局等, 研究員(移行) (30639977)
大島 真澄 公益財団法人日本分析センター, その他部局等, 研究員(移行) (40354815)
伴場 滋 公益財団法人日本分析センター, その他部局等, 研究員(移行) (40544432)
森本 隆夫 公益財団法人日本分析センター, その他部局等, 研究員(移行) (40544359)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | BNCT / BSH / BPA / LC/MS / 定量分析法 |
研究実績の概要 |
本研究は、BNCTの臨床実用化に向けて、これまで取得した研究成果を踏まえた上で、高速液体クロマトグラフ質量分析計(LC/MS) によるホウ素化合物を弁別したin vivo(生体内で)薬物濃度定量法を確立すると共に、生体内における2つのホウ素化合物の薬物動態特性を把握することを目指している。 平成28年度では、BNCTに用いるホウ素化合物のin vivo濃度の測定法を確立するために、先ずは検量線に用いたヒト血漿試料の保存条件(冷蔵または冷凍)や測定試料の作成手順による化合物濃度の定量結果への影響について検討した。測定結果の正確さを確保するために測定試料の作成手順を最適化した。検量線に用いた血漿試料は入手後素早く除タンパク前処理をしておけば、冷蔵保存(4℃)と凍結保存(-20℃)の2通の方法は、ほぼ同程度で良い測定結果(精度CVは最大でも5%以内、真度REは±15%以内)が得られた。本分析法で用いた前処理法は、生体試料中の薬物を高感度に定量する際に防ぐ要因となるタンパク質及びリン脂質を同時に除去できると共に、担癌ラットモデルからの少量の採血に適用できることを確認した。 BNCTにおいて、BPAはBPA-fructoseの形式で投与されているため、BPA-fructoseの標準溶液及び投与実験による採血した試料においてLC/MS測定による確認した。本定量法で確立した分析条件は実試料においてBPA-fructoseの検出が可能であり、本定量分析法に適用できることを確認した。 投与実験ではラットの脳腫瘍モデルを作製し、2つのホウ素化合物を単剤または合剤で経静脈投与し、採血した試料について検討を行った。実験結果より本定量分析法は実試料(担癌ラットの血漿試料)の濃度測定に適用できることを確認した。更に担癌ラットモデルの体内におけるBSHの濃度減衰はBPAより速いことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度の研究計画において、主な課題は生体内における2つのホウ素化合物の分離及び化合物ごとの濃度の測定法を確立することを目指している。 そのために、本研究の第1段階において、検量線に用いたヒト血漿試料の保存条件(冷蔵または冷凍)や測定試料の作成手順などに検討項目として焦点に当て本定量分析法を最適化した。投与実験によるラットの脳腫瘍モデルを作製し、2つのホウ素化合物BSHとBPA(BPA-fructoseの形式で投与)を単剤または合剤で経静脈投与し、採血した試料について検討を行った。実験結果から本定量法で確立した分析条件は実試料(担癌ラットの血漿試料)の濃度の測定に適用できることを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度に行った投与実験では、先ずはBSH及びBPAの単剤投与または合剤投与で検討を行った。ホウ素化合物の投与量について、ラット個体ごとに(1匹あたりの体重はおよそ90~110g)、BPAは250mg/kg、BSHは100mg/kgを経静脈投与した。平成29年度の研究計画において、2剤の投与量を調整して投与し、一定の時間間隔で採血した試料について検討を行い、生体内における2つのホウ素化合物の血中濃度や経時的濃度の減衰状況を把握する。これらの実験データは、今後に行う2剤併用BNCTの臨床実用化に資する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度科研費経費の使用について、当該年度実支出額は契約額より4万ほど(実験消耗品購入の物品費)繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
繰り越した4万ほどの物品費は次年度の実験消耗品に使用する。
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