研究実績の概要 |
高齢化社会を迎え高齢者の筋力低下、サルコペニアが問題となっている。高齢者リハビリテーション医療において筋力増強は非常に重要であるが、分子生物学的視点から筋力増強をとらえ、解析した研究は少ない。我々は筋力増強の基盤は、遺伝子転写促進による筋蛋白の合成という観点から、動物モデルを用いて筋力増強と関連した転写因子や初期遺伝子の発現につき解析を行い、筋力増強の分子生物学的検討を行ってきた。高齢者の筋力増強に関する研究により脳卒中後遺症や脊髄損傷の予後改善や介護量の軽減、寝たきり老人の減少に貢献することが期待できる。 本研究は、高齢動物における機械的ストレッチ刺激の筋力増強効果を調べるため麻酔下で高齢動物の骨格筋に他動伸長を加え、筋関連転写因子 MyoD、Myogenin 等、筋関連成長因子,MGFなど、筋構成タンパクであるミオシン、筋肥大経路のmTOR関連因子、AktなどのmRNA発現を定量遺伝子増幅装置を用いたリアルタイムRT-PCR 法を用いて計測し、高齢動物における機械的ストレッチ刺激の筋力増強に与える効果を検討するものである。高齢ラットは入手が困難になっており動物を加齢促進モデルであるSAMマウスに変更した。麻酔下の他動的ストレッチにより高齢モデル動物において骨格筋重量の増加、筋断面積筋の増大、Akt、P70S6K1の遺伝子発現増加が認められ、さすを分子生物学的手法を用いて解析し、より効果的な筋力増強法を開発を目的とし無意識下での他動的機械刺激が筋組織の増大すなわち筋力増強を促進する可能性が示唆され、臨床において、他動的機械刺激により高齢者の筋力増強、自力で筋力増強が困難な種々の疾患における筋力増強を促すことができろ可能性を示すことができた。
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