研究課題
本研究の課題は、リハビリテーションにおける大きな課題のひとつである不動・不使用に対する対応策を、遠心人工重力を用いて検証することでした。ラットを尾部懸垂によって後肢免荷することで擬似的な微小重力環境に置くと、その歩行が変化し、膝・足関節を伸展したまま歩行する現象(伸び上がり歩行)が見られます。これらを防止するため免荷期間中に遠心人工重力発生器を用いた高重力介入を実施しました。無介入群(高重力介入なし)に比較して高重力介入群では立脚中期の膝・足関節角度が有意に小さく、正常歩行に近くなりました。また、後肢の伸展に伴って拡大する股関節の床面からの高さ(中趾臀間距離)も縮小しました。しかしこの効果は介入強度が2G(通常重力の2倍荷重)もしくは1.5G(同1.5倍)の場合に最も大きく、2.5G(同2.5倍)では伸び上がり歩行を抑制する効果が認められませんでした。これらの結果から、遠心重力介入は微小重力環境によるラットの歩行の変化を抑制できることが明らかとなりました。ただしその効果は介入重力の強度に依存し、至適強度外では十分な効果を発揮できない可能性も示唆されました。現在、追加の情報としてラットの行動評価と学習能力を司るとされる海馬の組織学的データを解析中です。
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Scientific Reports
巻: 8 ページ: 13585
https://doi.org/10.1038/s41598-018-31579-z