研究課題/領域番号 |
16K01453
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
三原 雅史 川崎医科大学, 医学部, 教授 (80513150)
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研究分担者 |
橋田 剛一 大阪大学, 医学部附属病院, 理学療法士 (40647997)
小仲 邦 大阪大学, 医学系研究科, 特任講師(常勤) (20393225)
馬場 孝輔 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (90750159)
梶山 裕太 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (80792390)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | パーキンソン病 / 活動量 / 神経変性 / リハビリテーション |
研究実績の概要 |
ポータブル活動量計を用いた日常生活中の活動量および歩行量、運動機能などの臨床評価ならびに、ドーパミントランスポーターSPECT(DaT-SPECT)を用いた神経細胞変性評価を行いパーキンソン病患者における活動量と神経変性の程度との関連を検証した。 対象患者は64名で平均67.6歳、男女比は1:1で罹病期間は平均4.6 年。運動機能評価であるMDS-UPDRS part3は平均25.3で、神経細胞変性の指標であるDAT-SPECTのSpecific Binding Ratioは重症側の平均が4.52であった。日常生活中の活動量は1日8時間以上装着できた平均19.4日分のデータで評価し、一日あたりの歩行量は平均3904歩、METs×時間(Ex)で表した活動量は2.3Exであった。単相関分析(Spearman’s rho)では、神経細胞変性の程度が、Body Mass Index(BMI) (ρ=0.39)、活動量 (ρ=0.26)、歩行量(ρ=0.33)と有意な正の相関を認め、罹病期間とは有意な負の相関(ρ=-0.39)を認めた。運動症状の程度は黒質神経細胞変性の程度や活動量とは相関せず、罹病期間とのみ有意な負の相関(ρ=-0.35)を認めた。 神経細胞変性の程度を従属変数とし、年齢、運動症状、罹病期間、BMI、歩行量を独立変数として解析した重回帰分析では、罹病期間(β=-0.53、p<0.005)、BMI(β=0.48、p<0.005)、歩行量(β=0.32、p<0.05)が神経変性と有意に関連していた。 これらの結果より、日常生活における活動量や歩行量は、運動症状の悪化に伴って低下しているのではなく、独立した因子として神経細胞変性と関連している可能性や、BMI低下とあわせ、神経変性が全身の異化亢進や筋肉量の低下などとの関連する可能性が示唆された。今後のさらなる検討が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者の異動があり、研究環境の変化に伴う事務処理や 倫理審査などのため、研究の進捗がやや遅れた面があった。
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今後の研究の推進方策 |
今後も症例の蓄積を進め、上記の結果の検証を行うと同時に転倒や歩行障害と関連する脳領域及び脳内ネットワーク変化などを明らかにしていくことを目標に今後も多施設での検討を進めていく予定である
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の移動に伴い、再度倫理審査などを行う必要性が生じたことから当初予定と比較してやや進捗に遅れが生じたが、次年度以降、症例の集積に伴う消耗品費などへの利用を行う予定としている。
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