研究課題/領域番号 |
16K01457
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
原田 雄大 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (30755228)
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研究分担者 |
大渡 昭彦 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (30295282)
下堂薗 恵 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (30325782)
吉田 輝 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 講師 (40347109)
上川 百合恵 鹿児島大学, 附属病院, 医員 (70418854)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 脳梗塞 / 霊長類 / 慢性期 / 基礎研究 / 行動観察 |
研究実績の概要 |
本研究は、脳梗塞片麻庫モデルを霊長類で安定的に作成し、その回復過程を長期に観察することによって、これまで基礎的研究が困難であった慢性期の脳梗塞に対するリハビリテーション等の効果を検証、推進するものである。H29年度は、慢性脳梗塞モデルとして約5年間飼育したマーモセット脳梗塞モデルと、比較対象として同期間飼育を行った非介入個体を使用し、食餌の配置による麻痺側(健常マーモセットにおいては非利き手)の強制使用の小規模介入実験を行った。 結果として、非介入マーモセットにおいては、非麻痺側の強制使用、使用動作の習熟を認められた。一方、脳梗塞マーモセットにおいては、餌配置による誘導では麻痺側上肢の使用を認めず、慢性期脳梗塞モデルとして、自然回復していない片麻痺の状態が観察された。 また、術前、及び脳梗塞作成術5年後、同期間観察のコントロールについて、一分間の移動距離、最大移動速度を5回計測しその平均を比較した。脳梗塞モデルについて、術前の移動距離は平均1590㎜であり、作成後5年時点で、平均移動距離は3009㎜であった。(P=0.04) 最大運動速度は術前で606mm/sであり、術後は571mm/sであった。(P=0.49) 術前と5年後を比較して、少なくとも低下はしていない様子が示された。コントロールにおいて、観察開始時の平均移動距離は7566㎜であり、5年後の移動距離は2300㎜であった。(P=0.006)観察開始時の最大移動速度は1074mm/sであり5年後の最大移動速度は439mm/sであった。(P=0.12)5年前と比較して運動量はやや低下していたが、最大速度は有意差は認めなかった。 以上より、光感受性色素を用いた脳梗塞慢性期モデルが、長期観察が可能であることが確認できた。介入による動作の習熟も認めたが、麻痺側上肢への介入訓練としては、別に工夫が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
光感受性色素を用いた霊長類脳梗塞片麻痺モデルが、長期観察が可能であることを確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
訓練介入においては、麻痺側上肢の使用を強制できなかったため、別の手段を検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
マーモセット飼育、購入の共同費用の会計処理の必要上、次年度への繰り越し処理が必要となっている。
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