研究課題
摂食嚥下リハビリテーション(リハ)を行う入院高齢患者におけるサルコペニアの摂食嚥下障害の有病割合を調査し、栄養指標、ADLとの関連を検討した。研究デザインは横断研究。対象は2016年8月から2017年6月に当院リハ科で摂食嚥下リハを行った65歳以上の高齢入院患者で、研究の同意を得られた62人。サルコペニアの摂食嚥下障害の有病割合は、Moriらの診断フローチャートを用いて「可能性が高い」(A群)、「可能性あり」(B群)、「除外」(C群)で評価した。栄養指標、ADLは体格指数(BMI)、高齢者栄養リスク指数(GNRI)、Barthel Index(BI)で評価した。サルコペニアの摂食嚥下障害の有無による栄養指標、ADLの違いを検討した。男性41人、女性21人、平均年齢75±7歳。主な疾患は大動脈疾患11人、脳梗塞・脳出血9人、パーキンソン症候群7人、肺炎6人。全身のサルコペニアを31人(50%)に認めた。サルコペニアの摂食嚥下障害はA群7人(11%)、B群11人(21%)、C群42人(68%)であった。平均BMI21.3±3.3、平均GNRI82.3±12.9、BI中央値25(0、51)。平均BMIはA群18.8、B群18.7、C群22.7で、A群とC群、B群とC群に有意差を認めた。平均GNRIはA群72.2、B群73.2、C群87.5で、A群とC群、B群とC群に有意差を認めた。BI中央値はA群0、B群25、C群35でA群とC群に有意差を認めた。A・B群とC群の2群に分けて年齢、性別で調整したBMI、GNRI、BIのロジスティック回帰分析では、BMI(オッズ比0.54、p<0.001)、GNRI(オッズ比0.88、p<0.001)、BI(オッズ比0.98、p=0.04)いずれもサルコペニアの摂食嚥下障害と関連を認めた。サルコペニアの摂食嚥下障害は栄養指標、ADLと関連していた。
2: おおむね順調に進展している
平成29年度に予定していた前向きコホート研究のデータ収集を終了したため。また、サルコペニアの摂食嚥下障害診断フローチャートの信頼性、妥当性も検証できたため。
今年度に前向きコホート研究のデータ解析、学会発表、論文執筆を行う。サルコペニアの摂食嚥下障害に関しては、関連4学会で現在、ポジションペーパーを作成中である。ポジションペーパーが完成、公表されれば、サルコペニアの摂食嚥下障害というコンセプトとその位置づけがより明確になると考える。
オープンアクセス雑誌への論文掲載費用の支払いが、当初見込みより少なかったため。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件)
J Rehabil Med
巻: 49 ページ: 682-685
10.2340/16501977-2253.
JCSM Clinical Reports
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