研究課題/領域番号 |
16K01464
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研究機関 | 東北福祉大学 |
研究代表者 |
曽根 稔雅 東北福祉大学, 健康科学部, 講師 (60515500)
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研究分担者 |
遠又 靖丈 東北大学, 医学系研究科, 講師 (50706968)
中谷 直樹 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 准教授 (60422094)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 要介護 / 配偶者 / 心理的苦痛 / 社会的活動 / 死亡リスク |
研究実績の概要 |
平成30年度は、「要介護者の配偶者における健康及び社会的側面への影響:要介護度別の検討」について調査を行った。 本研究は宮城県大崎市に在住する高齢者を対象として2006年12月にベースライン調査を実施した。分析対象者は心理的苦痛との関連で6,809名、社会的活動との関連で6,600名、死亡リスクとの関連で7,598名であった。心理的苦痛はKessler 6を用い、10点以上を心理的苦痛ありとした。社会的活動は地縁的な活動、スポーツ・趣味活動、ボランティア活動の参加頻度について、月に1度以上の活動について調査した。心理的苦痛及び社会的活動との関連は横断研究デザインで、配偶者のベースライン時の要介護保険制度認定の有無を調査した。死亡リスクとの関連は縦断研究デザインで、追跡期間中の配偶者の要介護及び対象者の死亡について調査した。最大7.3年間の追跡期間中に1,410名の死亡が確認された。配偶者における要介護認定の有無による心理的苦痛及び社会的活動のオッズ比を算出するためロジスティック回帰分析を実施した。また、Cox比例ハザードモデルを用いて、配偶者の要介護発生後の死亡リスクを調査した。その際、要介護者の要介護度別(要支援1・2、要介護1・2、要介護3・4・5)に層別化解析を行った。その結果、配偶者が要介護状態にない者に比べ、配偶者が要介護状態の者において、要介護度に関わらず、心理的苦痛が高く、社会的活動の頻度が低いことが示された。また、死亡リスクにおける多変量調整ハザード比は、配偶者が要介護状態にない者に比べ、配偶者が要介護状態の者で要介護度に関わらず有意に高いことが示された。 要介護者やその配偶者に対するサポートシステムを要介護者の介護度に関わらず強化することは、配偶者の健康の維持や社会的活動への参加を促すうえで重要であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度は、要介護者の配偶者における、要介護者の介護度別の健康及び社会的側面への影響を明らかにするため、要介護度別のデータセットを作成した。これまでに投稿中であった「配偶者の要介護と死亡リスクとの関連」は国際誌への掲載が決定した(令和元年5月8日)。 令和元年度は、「要介護者の配偶者における要介護者の介護度別の健康及び社会的側面への影響」についての研究成果を国際学会で発表する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
既に分担研究者と協議を重ねデータセットの作成、主要な分析を終えている。これまでの研究成果について学会での発表、国際誌への投稿を通して公表していく。また、学会発表を通して、他の研究者と意見交換をすると共に医学研究について役立つ情報を収集し、今後の研究の発展につなげていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文の投稿及び査読に時間を要してしまい、オープンアクセス代として計上していた費用を使用することができなかった。 今年度は研究成果を広く公表するため、論文公表(オープンアクセス)に加え、学会発表での使用を計画している。
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