| 研究課題/領域番号 |
16K01465
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| 研究機関 | 国際医療福祉大学 |
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研究代表者 |
黒澤 美枝子 国際医療福祉大学, 薬学部, 教授 (30178131)
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| 研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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| キーワード | 外側腕傍核 / 扁桃体中心核 / 側坐核 / 動脈圧 / 心拍数 / 超音波発声 / 侵害刺激 / 触刺激 |
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| 研究実績の概要 |
皮膚や骨格筋への刺激（体性感覚刺激）により，各種内臓機能は反射性に調節される（体性ー自律神経反射）．自律神経機能は情動の影響を受けやすいことが知られており，体性ー自律神経反射も体性感覚刺激によっておこる情動の影響を大きく受けるが，そのメカニズムは明らかにされていない．本年度も引き続き，体性ー自律神経反射におよぼす陰性情動並びに陽性情動の影響の神経機構を検討した．
不安や恐怖などの陰性情動発生にかかわるとされる「腕傍核ー扁桃体路」に着目し，痛み刺激（侵害性刺激）時の昇圧反応における外側腕傍核（以下，LPBN）の関与を麻酔下ラットで検討した．本年は，刺激の側性とLPBNの関与を調べた．LPBNはGAABA受容体作動薬のムシモールの微量投与によって抑制した．その結果，抑制したLPBNとは反対側の後肢を刺激した際の昇圧反応は有意に減弱したのに対し，抑制したLPBNと同側の後肢を刺激した際の昇圧反応には，有意な影響が認められなかった．すなわち，LPBNは刺激の側性に応じて昇圧反応を調整していることが明らかとなった．心拍数においても検討したところ，動脈圧で認めた結果と同様となった．
また，「快情動」については，触刺激によって，快情動の指標とされる超音波発声がおこること，さらにその超音波発声が側坐核へのドーパミン受容体遮断薬の投与により，減弱することをラットを用いた動物実験により明らかにした． ヒトにおいては，触刺激単独より温熱を加えた触刺激により，快感のスコアが上がることを見出した．
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
体性ー昇圧反射における外側腕傍核の関与には側性のあることが明らかになった．情動が自律機能におよぼす影響においては側性がないと考えられるため，その中枢機序を探る必要性が生じたが，現在，外側腕傍核からの投射先である扁桃体中心核の関与を検討中であり，おおむね順調に進んでいる．
一方，快情動についても触刺激によって側坐核ドーパミンを介した超音波発声が起こることが明らかとなり，自律機能との関連性を検討する指標が見いだせた．
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| 今後の研究の推進方策 |
外側腕傍核からの投射先である「扁桃体中心核」をムシモールの微量投与により抑制し，体性ー昇圧反射におよぼす影響を麻酔下のラットで検討する．これまでの検討の結果，刺激の側性により外側腕傍核の関与が異なっていたので，扁桃体中心核についても同様に刺激の側性の影響を検討する．
さらに意識下のヒトにおいて触刺激時の循環反応を検討し，その反応における情動と自律神経の関与を明らかにする．
これらの結果を論文にまとめ，投稿する．
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| 次年度使用額が生じた理由 |
（理由）データ整理を院生が分担してくれる状況となり，人件費の使用がなくなった．また，論文執筆が遅れたため，論文投稿費並びに英文校閲費として計上していた「その他」の支出がなくなった．
（使用計画）実験を追加するための消耗品費，論文の英文校閲費，論文投稿費に充当する．
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