研究課題/領域番号 |
16K01468
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
丹羽 正利 杏林大学, 保健学部, 教授 (90274985)
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研究分担者 |
大城 直美 杏林大学, 保健学部, 助教 (20646939)
村松 憲 健康科学大学, 健康科学部, 准教授 (00531485)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 腹壁筋 / 外肛門括約筋 / 排便障害 / 糖尿病 |
研究実績の概要 |
排泄機能の障害は脊髄損傷、脳損傷といった神経系の障害に起因するものだけでなく、日本の国民病ともされる糖尿病や老化によっても生じる。本研究は、排便運動に深く関連した腹壁筋と外肛門括約筋に着目し、糖尿病や老化によって、その筋組織と運動ニューロンがどのような継時的変化を呈するか、またそれらの働きはどのように低下していくかを明らかすることが目的である。28年度は腹壁筋の運動ニューロンと筋組織の解析を行った。運動ニューロンでは、糖尿病群では数と大きさの減少が観察され、筋組織では、糖尿病群では筋の厚さと細胞の大きさの減少が観察された。29年度は外肛門括約筋の運動ニューロンの解析を行った。ストレプトゾトシン(100mg/kg)を生理食塩水に融解させた溶液を腹腔内投与して糖尿病を発症させ、3ケ月後と5ケ月後の糖尿病群とその健常コントロール群を比較対象としてそれぞれ解析した。方法は、イソフルラン吸入麻酔下にて、陰部神経を剖出し切断した。生理食塩水に融解させた10%Dextran-fluorescein溶液に切断神経中枢端を1~2時間浸した上で術創を閉じた。2~3週間の生存期間後、深麻酔下にて灌流固定を行い、下部腰髄から仙髄までの脊髄を取り出し後固定を行った。その後、厚さ80μmの水平断切片を作成し、蛍光顕微鏡にて標識された運動ニューロンをデジタルカメラを用いて撮影し、ImageJ(NIH)を用いて平均細胞径を算出した。その結果、病気3ケ月および5カ月後、健常コントロール群と比べ糖尿病群では、運動ニューロンの数が3分の1程度になっていた。また運動ニューロンの大きさでは、10~20%の減少が観察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、排便運動に深く関連した腹壁筋と外肛門括約筋に着目し、糖尿病や老化によって、その筋組織と運動ニューロンがどのような継時的変化を呈するか、またそれらの働きはどのように低下していくかを明らかすることが目的である。29年度は、外肛門括約筋の運動ニューロンの解析を行った。ストレプトゾトシン(100mg/kg)を生理食塩水に融解させた溶液を腹腔内投与して糖尿病を発症させた糖尿病群と健常コントロール群を比較対象としてそれぞれ解析した。実験当初、外肛門括約筋を支配する陰部神経の選別が上手くいかず、試行錯誤を繰り返すことになってしまった。また、外肛門括約筋の運動ニューロンを解析するために、オスのWistar系ラットを用いたが、染色に用いた陰部神経はオスではその半分ほどが球海綿体筋も支配することが判明した。さらに高血糖により球海綿体筋などの筋群が影響を受けるという報告もあることから、今回の結果が外肛門括約筋に特異的に影響を与えたとは断定できない。したがって、その影響がほとんどないメスのラットを用いる必要性が生じた。メスのラットを用いて、生理食塩水に融解させた10%Dextran-fluorescein溶液に切断神経中枢端を1~2時間浸し運動ニューロンを逆行性に蛍光色素により標識する準備を整えた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、排便運動に深く関連した腹壁筋と外肛門括約筋に着目し、糖尿病や老化によって、その筋組織と運動ニューロンがどのような継時的変化を呈するか、またそれらの働きはどのように低下していくかを明らかすることが目的である。30年度前半は、メスのラットを用いて外肛門括約筋の運動ニューロンと筋組織の解析を行う予定である。29年度と同様に、ストレプトゾトシン(100mg/kg)を生理食塩水に融解させた溶液を腹腔内投与して糖尿病を発症させ糖尿病群と健常コントロール群を比較対象としてそれぞれ解析する。現在、メスのラットを用いて外肛門括約筋を支配する筋枝を剖出し、運動ニューロンを標識する準備をしている。30年度後半は、左右の第13 胸椎および第1 腰椎の腹壁筋を支配する筋枝を左右同時に強縮が起こる頻度で電気刺激し、その時に発生する直腸内圧を記録し、コンピューターソフトウェアを用いて腹壁筋群の直腸内圧に与える影響について解析する予定である。さらに現在作成中のWistar 系ラット(老齢群)を用いて、運動ニューロンの解析をする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
調達方法の工夫などにより、当初計画より経費の節約ができたため。 物品費として計上する。
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