研究課題/領域番号 |
16K01468
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
丹羽 正利 杏林大学, 保健学部, 教授 (90274985)
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研究分担者 |
大城 直美 杏林大学, 保健学部, 助教 (20646939)
村松 憲 杏林大学, 保健学部, 准教授 (00531485)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 腹壁筋 / 外肛門括約筋 / 運動ニューロン / 排便運動 / 糖尿病 |
研究実績の概要 |
排便機能は人間の尊厳にも関わる問題であり、またそれを介護する者にとっても精神的・身体的労作量が多いことから、排便機能障害に対するリハビリテーションの重要性は極めて高い。しかし、排便のメカニズムに不明な点が多く残されていて、排便機能にアプローチするリハビリテーション手法が充分に確立されていない。実際の生体において便を体外に押し出す作用は、腹圧の上昇と同時に括約筋群を弛緩させ円滑に便を体外に排出させる必要があると考えられている。本研究は、排便運動に深く関連した腹壁筋と外肛門括約筋について、糖尿病による筋組織と運動ニューロンの形態的・機能的変化を明らかにした。これまで運動ニューロン及び筋組織について、運動ニューロン及び筋組織について、腹壁筋では、糖尿病の病期の進行とともに数と大きさの減少が観察されたが、外肛門括約筋では、大きな変化が観察されなかった。腹壁筋が病期とともに変性がすすんでいく一方、外肛門括約筋の比較的維持されていると考えられる。 最終年度は、ラットを用い、ストレプトゾトシン(100mg/kg)を生理食塩水に融解させた溶液を腹腔内投与して糖尿病を発症させた糖尿病群と健常コントロール群を比較対象としてそれぞれ解析した。左右の外交門括約筋を支配する陰部神経を剖出し、双極カフ電極を装着し、電気刺激できるようにした。肛門に内圧計を挿入し、外肛門括約筋収縮圧を記録できるようにした。左右の陰部神経の筋枝を同時に強縮が起こる頻度で電気刺激し、その時に発生する外肛門括約筋収縮圧を測定した。まだ病期初期ではあるが外肛門括約筋の強縮による収縮圧についても大きな変化が観察されなかった。排便時には腹圧の上昇と同時に括約筋群を弛緩させ円滑に便を体外に排出させる必要があると考えられているが、それらのバランスが崩れていき適切な排便活動が妨げられている可能性が示唆された。
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