研究課題/領域番号 |
16K01475
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
加賀谷 斉 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (40282181)
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研究分担者 |
青柳 陽一郎 藤田保健衛生大学, 医学部, 准教授 (30286661)
百田 貴洋 藤田保健衛生大学, 医療科学部, 助教 (30597638) [辞退]
才藤 栄一 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (50162186)
田辺 茂雄 藤田保健衛生大学, 保健学研究科, 准教授 (50398632)
稲本 陽子 藤田保健衛生大学, 保健学研究科, 准教授 (70612547)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 摂食嚥下障害 / 舌骨上筋 / 磁気刺激 |
研究実績の概要 |
摂食嚥下障害の大きな原因である舌骨挙上障害に対してこれまでに各種の電気刺激が用いられてきたが,いずれも皮膚の疼痛を生じ,また,電極を皮膚に密着させることが困難などの面から臨床場面での普及は難しかった.磁気刺激は皮膚に存在する侵害受容器を刺激せず刺激コイルを皮膚に密着させる必要がないが,これまではコイルが大きすぎることから舌骨を挙上させる舌骨上筋の刺激は困難であった.われわれは,舌骨上筋を選択的に磁気刺激可能なコイルを開発し,特許申請を行った.そのコイルを平均年齢32歳の成人男性11名に使用し,周波数30Hzで疼痛を感じない強度の磁気刺激を行い,透視下に磁気刺激の有無による舌骨の位置を評価し,移動距離をImage J programで計測した.その結果,磁気刺激中に舌骨は前方に10.9±2.8mm,上方に8.3±4.1 mm(平均値±標準偏差)の挙上を得た.Numerical rating scale (NRS)を用いて評価した磁気刺激中の痛みは中央値1であり,疼痛もほぼみられなかった.健常人が液体を嚥下したときと同等の舌骨移動を疼痛なく得ることができ,実用に耐えうる舌骨上筋磁気刺激が可能になった.この成果は論文として投稿し,雑誌Neuromodulationに採用された.磁気刺激により十分な舌骨挙上が得られることがわかり,現在は当大学の倫理委員会の承認を得て舌骨挙上障害のある摂食嚥下障害患者への応用を行っている.また,磁気刺激を週5回2週間行うことにより舌骨上筋の筋力強化が得られるかどうかについて,無作為化比較試験を行っているところである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
われわれの開発したコイルを用いて思った以上の舌骨挙上を得ることが可能であった.研究成果も論文投稿後短期間で採用となった.現在は,摂食嚥下障害患者への応用と,健常人を用いた無作為化比較試験の2つを,当大学の倫理委員会の承認を得て行っている.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,現在行っている2つの研究に加え,摂食嚥下障害患者に対する舌骨上筋磁気刺激の効果を無作為化比較試験で行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度は研究を継続し,その成果を学会発表や論文を通じて公表していく予定である.
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