研究課題
インターフェロンgで刺激して強制発現させた癌細胞上のPD-L1は、細胞実験では、加温処理により一過性にその発現が低下することをこれまでの研究で明らかとした。本年度は、そのメカニズムを検討したが、インターフェロンgで刺激でも癌腫によっては、PDーL1の発現を起こさないものもあり、また、インターフェロンgの刺激で発現したPDーL1が温熱処理で減弱されるものとされないものがあることもわかり、一定の傾向を見いだすことができなかった。そこで、我々は、一般に癌組織に対しては、癌の発育に促進的に作用すると考えられる、脂肪組織由来幹細胞をがん細胞と共培養することによるがん細胞のフェノタイプや、PDーL1の発現をまず調べ、それに対する温熱処理の影響を調べている。現在その研究の途中であり、解析も並行しておこなっているが、まだ結論には至らない。
4: 遅れている
本研究においては、予備実験に基づく我々の当初の研究テーマが、がん細胞により結果がばらつくため、当初の研究テーマをそのまま継続することの難しさを感じている。そこで、平成29年度中頃から、脂肪由来幹細胞とがん細胞を共培養することによる、PDーL1を含めた、各種分子やサイトカインの分泌をまず把握し、それらに対する温熱処理の影響を見るという、視野を少し広げた形での研究に移行しつつある。
キラーT細胞上のPDー1、及び、がん細胞上のPD-L1の発現メカニズムや、それに対する温熱処理の影響というシステムは、ある一部の免疫細胞と特定のがん細胞とを題材にしていては、一定の結論には至らないことが明らかとなった。今後は、人体の免疫システム全体の中での免疫チャックポイントの発現及びまたそれに対する温熱処理(ハイパーサーミア)の影響という方向で研究を進めていくべきと考え、研究方針を少し変更しているところである。
今年度前半に実施した研究結果が、推測外出会ったため、研究の方向性を見直し、新たに研究をおこなったため平成30年度は、免疫システム全体の中での免疫チェックポイントとハイパーサーミア(温熱処理)の関係を明らかとすることを目指す。また、研究結果によっては、免疫チェックポイントにこだわらず、免疫システムに及ぼすハイパーサーミアの影響を再検討する。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 5件)
Int J Cancer
巻: 142 ページ: 2599-2609
10.1002/ijc.31285. Epub 2018 Feb 14.
Oncol Rep
巻: 36 ページ: 1093-100
10.3892/or.2017.4877. Epub 2016 Jun 15.