研究課題/領域番号 |
16K01484
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
福田 寛二 近畿大学, 医学部, 教授 (50201744)
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研究分担者 |
小野寺 勇太 近畿大学, 医学部附属病院, 助手 (30510911)
寺村 岳士 近畿大学, 医学部附属病院, 講師 (40460901)
丹羽 淳子 近畿大学, 医学部, 講師 (60122082)
高橋 英夫 近畿大学, 医学部, 教授 (60335627)
竹原 俊幸 近畿大学, 医学部, 助教 (60580561)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 間葉系幹細胞 / 酸化ストレス / Nrf2 |
研究実績の概要 |
本研究では、運動器の維持、再生、組織の更新を担う間葉系幹細胞(MSC)について、抗酸化システムの中心分子であるNrf2の重要性と機能を明らかにすること、運動機能との関係性を検討することを計画した。 本年度までに、臨床薬としても使用されるヒアルロン酸がNrf2の発現量を増加させること、炎症や加齢により発現するmiR-155がNrf2の発現を抑制することを発見し、原著論文として報告している。Nrf2はHO1やSODなどROS中和を行う分子のマスター転写因子であり、miR-155の強制発現はROSを蓄積させた。miR-155とNrf2の関係性を明らかにするためノックアウトES細胞を作成後にMSCへと分化誘導を行い、筋組織へ移植を行った。その結果、miR-155ノックアウトマウスではNrf2の抑制が生じず、miR-155によるNrf2の抑制機構が存在することが証明された。さらに、同様の現象が筋衛星細胞でも再現されることを確認しており、Nrf2の機能は運動器の正常性と深く関連していると考えられる。 Nrf2の機能をさらに細かく明らかにするため、Nrf2マウスを導入し、現在MSCの培養に取り組んでいる。今後、遺伝子発現の網羅的比較などを行い、さらにその機能を検証していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度までに、加齢や炎症によりNrf2が減少する機構の一つを解明した。本成果は、怪我や炎症性疾患により運動器が障害されることを防ぐ新たな治療法の提案につながると考えられる。現在、ノックアウトマウスの使用によりNrf2そのものの機能についても解析を進めている。終了時までにはNrf2を中心としたMSCの機能維持について理解を深めていきたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
Nrf2ノックアウトマウスよりMSCを採取し、網羅的解析を行う。また、当初計画にあるとおり、運動による正の効果を実証するため、力学的ストレス負荷とMSCにおけるNrf2発現の関係性についても明らかにしていきたい。
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