研究実績の概要 |
平成28年度・29年度における本研究の目的は、高齢入院患者における栄養状態を反映する舌厚と呼吸機能・嚥下機能・口腔機能検査指標、ADL能力との関連性について検討することである。 医療法人小川病院入院中の高齢患者28名に超音波測定による舌厚と呼吸機能、嚥下機能、口腔機能、ADLについてデータ測定ならびに調査を実施した。さらに、舌厚・舌圧と患者特性、握力、筋量、骨格筋指数、呼吸機能検査値・呼吸筋力値・反復唾液嚥下テスト結果・改訂水飲みテスト結果、口唇閉鎖力、バーセルインデックス、歩行能力(歩行自立・歩行要介助・歩行不可)の関連性について検討した。 結果、舌厚と下肢筋量・四肢筋量に有意な正の中等度相関(r=0.47, 0.47, p<0.05)、舌圧とBMI・握力・骨格筋指数に有意な正の中等度相関(r=0.53, 0.56, 0.50, p<0.05)、舌圧と最高呼気筋力・口唇閉鎖力に有意な正の強い相関(r=0.74, 0.75, p<0.005)を認めた。さらに、舌厚とバーセルインデックス、舌圧とバーセルインデックス・歩行能力に有意な正の中等度相関(r=0.47, 0.61, 0.63, p<0.05)を認めた。 栄養状態を反映する舌厚は四肢の筋量と関連し、舌圧は握力、呼気筋力、口唇閉鎖力と関連していた。また、舌厚、舌圧ともにADL能力と関連していた。このように、舌の指標は四肢の筋量・筋力、呼吸筋力、ADL能力を反映することが示唆された。 次年度の測定データを追加し、詳細な検討を実施する予定である。
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