一般に、視線方向と注意方向は一致するが、全盲に近い状態の視覚障害者でのその関係性についてはよく知られていない。今回の試行によりこれが単純ではないことがわかったが、矯正可能であるかは、わかっていない。これらを明らかにすることには、注意方向と眼球の位置感覚に関する基礎的知見を得る可能性がある。 また、見た目の視線をもとに注意の方向を予測できれば、それをもとに視覚障害者の新しい空間的ガイド手法が考案可能になる。視覚を失った者も自らの眼球に対する愛着は大きく、これがまた日常生活に役立つ存在になるという局面では、非常に元気づけられる。この点から心理面の支援としても有効であると思われる。
|