研究課題/領域番号 |
16K01493
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研究機関 | 独立行政法人労働者健康安全機構総合せき損センター(研究部) |
研究代表者 |
林 哲生 独立行政法人労働者健康安全機構総合せき損センター(研究部), その他部局等, 研究員(移行) (00769680)
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研究分担者 |
前田 健 独立行政法人労働者健康安全機構総合せき損センター(研究部), その他部局等, 研究員(移行) (80315077)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 嚥下障害 / 頚髄損傷 / 四肢麻痺 / 嚥下造影 / 嚥下反射 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、急性期頚髄損傷患者に対して、前方視的に、嚥下造影や嚥下内視鏡を行い、嚥下障害や誤嚥の機序や危険因子を解明することである。頚髄損傷後の形態学的変化と気道防御反射を評価し、嚥下障害の機序を解明することで、摂食方法を見直し、誤嚥性肺炎の発症を抑え、致死率の低下および医療コストの削減に有効な可能性がある。 臨床的な嚥下障害の重症度の把握と頚髄損傷患者の麻痺や機能の把握については、受傷前の状況の聞き取り調査に加え、受傷後2週・1か月・2か月・3か月と前向きに、Functional Oral Intake Scale (FOIS)・藤島式嚥下グレード・嚥下障害臨床的重症度分類を評価している。平成28年度は、58例の急性期頚髄損傷患者が入院してきたが、38例が受傷後3か月までfollowできている。現時点の解析では、受傷後、摂食嚥下能力が低下して、その後、改善傾向をたどっていることが分かっている。今後も、脊髄損傷データベース(総合せき損センター方式)と連携して、麻痺の重症度やADL障害との相関関係を検証する予定である。 嚥下造影・嚥下内視鏡による誤嚥や喉頭侵入の有無の評価についても嚥下障害のある患者に対して行っている。画像上、喉頭侵入や誤嚥の有無を正確に診断し、咽頭期における摂食状況を動画で評価することを目的とする。呼吸・循環状態の落ち着き始める受傷後2~4週目頃に、嚥下造影もしくは嚥下内視鏡を行っているが、喉頭部での残留が明らかに多い。嚥下反射も嚥下造影検査と合わせて行っているが、どの患者で反射が消失するかについてはまだ明らかではない。 現在のペースでいけば、3年間で100例以上の症例の蓄積は可能と予想される。画像的特徴も含めて、今後は解析を進めていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
症例数も順調に増え続けており、一年間で38例が3か月間follow出来ているので、3年間で100例以上という目標に到達できそうである。
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今後の研究の推進方策 |
症例数に対しては、このまま推進していくことで順調に達成しそうである。研究計画の変更については、画像評価に関して、当初、入院時と受傷後2週に頚椎CTを撮影する予定であったが、保険診療上、月2回のルーチンでのCT撮影は困難であるため、単純X線に変更した。またMRIでの軟部組織の腫脹について評価することも検討する方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究用の備品や消耗品等が予定より安価で購入できたために、次年度繰越となった。
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次年度使用額の使用計画 |
嚥下検査時に使用のカートの購入や学会参加のための旅費等で計画を立てている。
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