研究課題/領域番号 |
16K01496
|
研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
伊藤 佐知子 (上村佐知子) 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40271829)
|
研究分担者 |
神林 崇 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50323150)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | スボレキサント / ゾルピデム / ラメルテオン / 残余効果 / 転倒 / 運動機能 / 認知機能 |
研究実績の概要 |
睡眠導入剤の残余効果を明らかにするため、二重盲ランダム比較試験によって、スボレキサント(ベルソムラ)10mg、ラメルテオン(ロゼレム)4mg、ゾルピデム(マイスリー)5 mgの一回服用における翌日の運動機能と認知機能をプラセボと比較した。 事前に健康診断を実施し、深刻な疾患に罹患していない65歳以上の健常高齢者14名(男性6名,女性8名,68.0±3.4歳)で、睡眠導入剤をはじめとする向精神薬の薬剤処方がないものを対象とした。実験日の昼寝や居眠り、喫煙、カフェインの摂取は禁じた。実験目的および手続きについては十分に説明し、書面によって同意を得た。本実験は、秋田大学倫理委員会の承認を受けた。 実験方法は、対象者に、睡眠導入剤かプラセボのいずれかをランダムに就寝時(23時)に服用してもらい、就寝させた。翌日4時に起床させ、評価をしたのち、6時まで再度就寝させた。客観的評価(TUG,FRT,重心動揺、記憶、手の反応)と主観的評価(眠気、気分、疲労感)は、服薬前後と翌日、それぞれ5回と8回測定した。各実験の間隔はwash-outのため1週間とし、実験の間の6日間は平常の生活を指示した。実験場所は、宿泊施設を利用し、医師が立ち会い、服薬後の観察と実験の安全管理を徹底させた。 結果は、反復測分散分析により、薬(4条件)と時間の主効果および交互作用を検討した。重心動揺の閉眼時の動揺距離において薬の主効果(p=0.012)が認められ、多重比較(Bonferroni)で、ゾルピデム<スボレキサント、ゾルピデム<ラメルテオンであり、ゾルピデムが有意に好成績であったが、プラセボとは差がなかった。他の指標には有意差は認めなかった。 以上より、いずれの薬剤でも今回検討した用量では、転倒等の危険性が増すような可能性は認めなかった。ゾルピデムは他の2薬に比べて、重心動揺の閉眼時において好成績であった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験を全て終え、一部を残して解析は終了した。現在は、学会などで実験結果について、様々な関係者と意見交換し、考察を深めている。
|
今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、米国睡眠学会、日本睡眠学会、アジア理学療法学会の発表を予定している。広く意見を集め、考察を深め、論文執筆に取り掛かる予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
対象者数を増やすために追加実験を行う予定がある。
|
次年度使用額の使用計画 |
対象者の人件費(2名×4夜で150千円)、実験補助のアルバイト(10千円)および脳波解析費(2名×4夜×@5,000円=40千円)
|