研究課題/領域番号 |
16K01497
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
菊地 千一郎 群馬大学, 大学院保健学研究科, 教授 (60323341)
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研究分担者 |
福田 正人 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (20221533)
服部 卓 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (30241897)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 近赤外線スペクトロスコピー / 作業療法 / 精神疾患 / 認知課題 / 反復 / 馴化 / 頑健 / ウェアラブル |
研究実績の概要 |
精神科リハビリテーションの長期にわたる経過観察、効果測定などのためには、臨床に応用可能である機器を用いることが望ましい。近赤外線スペクトロスコピー(NIRS)検査は、非侵襲かつ低拘束に、ヘモグロビン濃度変化を根拠とする脳活動を測定することが可能であるが、従来の機器は可搬性に欠ける。さらにNIRSは、相対的な濃度変化を測定するため、刺激となる認知機能課題の負荷が必要なのであるが、反復による馴化を念頭に置いた課題の選択が考慮されているとは言いがたい。そこで本研究では、日常環境下で簡便で反復可能な脳機能計測を可能にするため、ウェアラブルNIRSという可搬性に優れた機器を使用し、ウェアラブルIRS上で馴化に頑健な認知課題を探求することを目的とした。本研究は群馬大学「人を対象とする医学研究倫理審査委員会」の承認を得た。これまでの対象は、健常成人14名である。機器は日立ハイテクノロジーズ社製WOT-100を用いた。1回の検査は同一刺激課題を2つ(前半、後半)含む。1日に、演者らが行ってきた後だし負けじゃんけん課題(drRPS)、馴化に強いと考えられているストループ課題(cStroop)、cStroopよりも易しい動物ストループ課題(aStroop)の3つの検査を、同一曜日に4週間にわたり施行した。デトレンドおよびZ変換処理後の酸素化ヘモグロビン波形積分値について時系列に検討したところ、drRPS,aStroopは反復により左右の関心領域で積分値が有意に減少したが、cStroopの前半の積分値は、特に右関心領域において保たれていたため、少なくとも現時点では、例えば赤色で「青」という文字が呈示される葛藤が生じる場合「赤」という実際の色を答えさせるような、ストループ課題が適していると考えられた。本研究の成果は、平成28年10月28日の第46回日本臨床神経生理学会で発表された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初は平成29年度に予定していた、すでに馴化に強い課題の特定ができたため。
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今後の研究の推進方策 |
ウェアラブルNIRSにおいても、ストループ課題は馴化に強いことが判明した。しかし、実際に色を用いた漢字を用いた課題を用いた本課題を、幅広い層に臨床応用可能とするには、敷居が高いと思われる。結局のところは課題の難しさと、馴化に対する頑健さはトレード・オフなのかもしれない。今後、漢字を用いない、ストループ課題派生課題を選択して、それらが馴化に対して頑健かどうかを確認する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は、物品費を用いて、ウェアラブルNIRSのチャンネル数を増やすための、高額なアップグレードサービスに用いる予定であった。しかし、チャンネル数を増やすと、検査の準備時間をかなり要することが判明した。日常に行える簡便な検査を目指すにあたり、チャンネル数を維持するためにアップグレードサービスを行わなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
活動記録のソフトウェアおよび、ライフコーダーの増設に当てる予定である。
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