研究課題
日常環境下で簡便で反復可能な脳機能計測を可能にするため、ウェアラブルNIRSという可搬性に優れた機器を使用し、ウェアラブルNIRS上で馴化に頑健な認知課題を探求することを目的とした。平成28年度までの研究では、文字そのものの色と文字の示す色が矛盾する文字を呈示しその色を答えさせる文字ストループ課題(例:赤色で「青」と書かれていれば、赤と答えなければならない)が最も馴化に強いことが判明した。この研究は、より詳細な検討を加え、平成29年7月に東京で行われた、光脳機能イメージング学会、および、平成29年10月にベルリンで行われた世界精神医学会にて発表された。更に文字ストループ課題は抽象的な概念を呈示するため、平成29年度はストループ課題派生課題(リアルサイズストループ課題)を加えて、キー入力を用いて入力させたところ、予想に反して課題遂行中の相対的な血液量変化の減少を招く結果となってしまった。これは、なるべく早く画像を認知後判断の結果をキーボードで入力するという作業がビデオゲームの形式に類似していたためではないかと考えられた。過去の研究ではビデオゲーム中には前頭前野の活動が低下していることが報告されている平成30年度はキーボードを利用しない音声入力にて文字ストループ課題を行い、キーボード入力による課題との変化を比較検討した。その結果、音声入力による課題とキーボード入力課題では脳活動に差はなく両条件ともに増加していた。同時に音声入力は対象課題による打ち消し作業が結果に大きな影響を与えることを見出した。これらの結果は平成30年度日本臨床神経整理学会にて発表された。平成29年度の研究でキーボード入力時に活動が低下したがこれらとの違いが生じた理由は不明であるが、アーチファクトが含まれたチャンネルの除去が不十分だった可能性がある。
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臨床神経生理学
巻: 46 ページ: 503-503