研究課題/領域番号 |
16K01498
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
十枝 はるか 群馬大学, 大学院保健学研究科, 講師 (30380835)
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研究期間 (年度) |
2017-02-23 – 2023-03-31
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キーワード | 発達障害 / 作業療法 / 保育士 / 支援 |
研究実績の概要 |
2021年度は、C市より3名のほか、あらたにD市からも研究協力が得られ、D市より3名の参加頂き、計6名の保育士の参加となった。D市も、市の業務として参加できる手続きを踏まえたので、対象者にとっては職場や上司からも理解されての参加となり、心理的負担がより少なくなったと思われる。D市は今年度初めてではあったが、市の理解もありスケジュール調整も無理なく行えた。 6名の保育士からは「子どもの行動観察を記録していくことにより、子どもの心が見えてきたり、行動パターンがわかったり、私自身素直な気持ちで記録することでとてもスッキリした気持ちで関われたりすることができた」「全部を終えて、対象児がとても変化しており(良い方向へ)本当に驚いています。子どもへの見方、対応の仕方で子どもがいかようにも変わるということです。」「トレーニングを始めたばかりの頃は、対象児の行動が気になると「え、なんで…?」という感じ、つい自分のリードに載せようとして必死(!?)になりがちでしたが、私自身の思いをみなさんに聞いてもらい、アドバイスをもらうことで少しずつ心にゆとりがもてるようになってきた」「私自身幼児のマイナス面がどうしても気になりがちでしたが、プラスの循環へしていくことは教師と幼児共に心の安定、幼児の自信や意欲が増える等につながることが実践でわかりました」「ホームワークについて先生方と話して、いろいろな言葉かけの仕方があることを学んだり、自分のホームワークを他の先生が『ここがいい』『これができている』など話し合うことで自信にもつながることができた」といった感想が寄せられた。 今年度は6名が参加し、5名がインストラクターとしての準備を進めている。遅れながらもティーチャー・トレーニングの普及につながり、適切な保育・教育環境による発達支援を提供することができる地域社会の構築を進められたのではないかと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
C市は3年目となり、2019年と2020年目にペアレント・トレーニング保育士版(以下、ティーチャー・トレーニング)に参加した5名の保育士がインストラクター養成講座を受講した。次年度は2019年度にティーチャー・トレーニングに参加し、2年連続インストラクター養成講座を受講した2名の保育士が、研究者のオブザーバーの下、インストラクターとして誕生し、その効果も検証する予定である。しかしながら2019年度に参加した2名の保育士は、まだインストラクターとしてやっていく自信がないとのことで、2022年度も養成講座受講し、再来年度、2020年度に参加した3名の保育士と一緒にインストラクターとして独り立ちする予定である。インストラクターとしての自信をつけられるよう、インストラクター養成講座の内容もより実践的なものにしていく予定である。 D市では、2022年度よりインストラクター養成講座も開始し、2021年度ティーチャー・トレーニングに参加した3名が受講予定である。この3名と2022年度ティーチャー・トレーニングに参加予定の3名の計6名がD市におけるティーチャー・トレーニングのインストラクターとして誕生予定である。C市のように2年受講後には、自信をもってインストラクターができるように講座内容もより実践的なものにしていきたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2017年~2019年度はB市において計12名、2019年~2021年度はC市において計9名、D市においては2021年度3名のティーチャー・トレーニングの参加者があり、合計24名となり、普及という観点でも前進したと考えられる。B市では保育士のインストラクターは実現できなかったが計6名の保育士が、インストラクター養成講座を受講した。C市においては5名インストラクター養成講座を受講し2022年度には誕生しないが、2023年度にはこの5名のうち数名はインストラクターとして誕生する予定である。D市においては、2022年に3名、2023年に3名のインストラクター養成講座を受講予定で2024年には3名、2025年にも3名、インストラクターとして誕生する予定である。B市の研究協力とりやめのため当初の5年計画から、C市での2年遅れの5年計画での実施、D市での4年遅れの5年計画となる。研究期間は過ぎてしまうが、C市・D市でのそれぞれの5年計画で進めていきたいと考えている。そして、この5年計画終了後も、各市で誕生したインストラクターを中心に毎年実施してもらう予定である。本研究に参加すること(インストラクターを務めること)が市の業務として認めてもらえているので、対象者とってはやりがいにつながるのではないかと考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたB市での5年計画が3年で終了してしまい、2年遅れてC市での5年計画を実施中である。当初の予定であれば2021年度の予算は、保育士によるティーチャー・トレーニングの効果測定のために使用予定であったが、遅れているため使用できなかった。2022年度は保育士がインストラクター誕生しその効果測定を行う予定であるが、該当する2名の保育士がまだ自信がないとのことで、2023年度の誕生を目指して再度インストラクター養成講座受講予定である。2022年度も研究者によるティーチャー・トレーニングの効果測定と、インストラクター養成講座に予算を使用する予定である。
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