研究課題/領域番号 |
16K01502
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
久保田 雅史 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 理学療法士 (60422672)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 経頭蓋直流電気刺激 / 抹消神経電気刺激 / 脳卒中 |
研究実績の概要 |
本年度では、主に脳卒中症例に対するtDCSと末梢神経電気刺激の併用症例のデータ収集を行った。まず、single case multiple baseline designにて異なるbaseline期間の症例に対し治療効果を検証した。対象症例は手指麻痺は重度(12段階麻痺グレード1-2)で、発症5日以上経過し当院入院症例の3症例とした。baselineを29日、10日、5日と、異なる設定としたが、どの症例に対しても治療開始後のFugl-Meyer assessment は改善認めた。また、Box and block testにおいても治療開始後に明らかに運搬個数が増加していた。tDCS治療直前と直後の差に関しても、Fugl-Meyer assessment tやBox and block testとも改善傾向を認めた。Functional independence measureに関しては治療期間とともに徐々に改善しており、tDCS治療期間との関連性は認めなかった。 NIRSを用いた脳機能画像評価では、脳卒中症例ではtDCS治療中に明確な変化を示しておらず、計測方法を調整していく必要がある。また、MEPでの神経生理学的評価は、まだ症例数が少なく、十分な解析は行えていない。また、2週間の治療プロトコールを完了した症例も解析を行うまでには達しておらず、今後さらにデータ収集を継続して行っていく必要がある。 平成30年度ではtDCSのみの介入での治療効果の国内学会報告を行い、国内の研究者とディスカッションを行った。また、学会シンポジウムや、セミナーなどで研究成果を示し、理学療法士や医師との情報交換を行った。平成31年度の国際学会においてtDCSと抹消神経電気刺激併用効果の検証報告を行う方針である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していたよりも症例数の蓄積に想定以上に時間がかかり、研究期間で予定していた症例数に達しなかった。
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今後の研究の推進方策 |
臨床データの蓄積に重点をおき、tDCSと末梢神経電気刺激による治療介入の成果を機能変化としてとらえていく。さらに、運動誘発電位の解析から皮質脊髄路の興奮性変化を評価し、tDCSと末梢神経電気刺激の併用効果を検証していく。また、国際学会での研究成果の公表や、国際誌での論文掲載を進めていく方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
inclusion criteriaとexclusion criteriaに合致し、実際のデータ収集が行えた症例数が予定より少なかったため、次年度までデータ収集期間を延長し、次年度使用額が生じた。 翌年度は不足しているデータ収集を増やしていくための消耗品と、国際学会にて研究成果を公表し、情報交換を行う予定であるための旅費などに使用する予定である。
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