研究課題/領域番号 |
16K01522
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研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
桐本 光 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (40406260)
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研究分担者 |
大西 秀明 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (90339953)
山代 幸哉 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 講師 (20570782)
浅尾 章彦 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 助教 (40780268) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 静磁場 / 非侵襲的脳刺激 / 一次体性感覚野 / 体性感覚誘発電位 |
研究実績の概要 |
近年の研究により経頭蓋静磁場刺激(Transcranial static magnetic stimulation: tSMS)によりヒトの一次運動野(M1)の興奮性が抑制されることが報告されている.tSMSは先行する経頭蓋磁気刺激(TMS)や経頭蓋直流電流刺激(tDCS)の代替手段となり得るかが注目されている. 初年度における本研究では,一次運動野または補足運動野に対するtSMSにより一次体性感覚野の興奮性の視標である感覚誘発電位(SEP)の振幅が変化するか否かを検証した.更にはtSMSに使用するNdFeB磁石の磁束密度は距離に依存してどの程度減衰するのかを計測した. 14名の健常成人を対象とし,M1またはSMAに対するtSMS及びSham刺激を15分間行い,刺激前,刺激終了直後,5分後,10分後にSEPを記録した.SEPは右正中神経刺激(3.3 Hz, 300回)により誘発し,記録電極はC3’及びF3に設置した.NdFeb磁石表面から5 mmごとに40 mmまでの磁束密度を記録した. M1にtSMSを行った条件では,C3’から記録されたSEP成分の内,P25とN33の振幅が刺激直後において有意に低下した.一方SMAに対するtSMSでは,全てのSEP成分に何ら影響を及ぼさなかった.NdFeb磁石の磁束密度は,ヒトの頭皮から皮質までの距離,20-30 mmにおいて110-190 mTであった. 本研究結果より,一次体性感覚野の興奮性を非侵襲的に変化させる脳刺激ツールとして,tSMSは有効である可能性が示唆された.生体のイオンチャネルの機能低下を惹起するには100-150 mTの静磁場が必要とされており,本研究で使用したNdFeb磁石は一次体性感覚野の興奮性を変化させるために十分な磁束密度を持つことが確認された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り,NdFeB 磁石を頭皮上に設置するデバイスを作成し,tSMS によりS1の興奮性の指標である感覚誘発電位の振幅が減少することを明らかにした.また,使用したNdFeB 磁石(最大吸着力 862 N)の磁束密度を計測し,頭皮上 から皮質までの推定距離(20-30 mm)において,生物の神経システム系に反磁性異方性作用を生じせしめるに充分な静磁場(80-200 mT)が存在することを確認した.
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今後の研究の推進方策 |
計画通り二年目は健常者を対象に M1 または S1 に対する tSMS 前後の痛覚誘発電位の振幅及び各種感覚閾値を 比較検討する. 対象;成人健常被験者 20 名 測定項目;痛覚誘発 SEP,触圧覚閾値,痛覚閾値,二点識別閾値 測定条件;Aδ 線維を選択的に刺激するために開発された表皮内電極を手背に設置し,被験者毎に痛みを感じる最小強度 (痛覚閾値)を決定する.痛覚閾値の 1.5-2 倍の刺激強度の電気 刺激(1.0 ms)を行い,頭皮上の Cz,Pz,C3’に設置した電極より痛 覚誘発電位を記録する.10 秒間以上のランダムな刺激間隔で 10 波形 を記録し,加算平均処理を施し,N2/P2 の振幅を計測する.触圧覚閾 値は,セメスワインスタインモノフィラメントにて,二点識別閾値はスピアマン触覚計にて計測する.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究2年目の平成29年度より広島大学大学院へ移動することが決まった.異動後は新たに生体信号記録装置を購入する必要が生じる可能性あるため,平成28年度に購入を予定していた携帯型末梢神経刺激装置の購入を取りやめ,同機器を所有する共同研究者から貸与を受けて実験を実施した.
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度の物品費70万円に,平成28年度の残額約75万円を合わせて,移動先の広島大学大学院にて生体信号記録装置を購入する予定である.
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