研究課題/領域番号 |
16K01523
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研究機関 | 帝京科学大学 |
研究代表者 |
萩原 宏毅 帝京科学大学, 医療科学部, 教授 (80276732)
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研究分担者 |
斉藤 史明 帝京大学, 医学部, 准教授 (40286993)
廣瀬 昇 帝京科学大学, 公私立大学の部局等, 助教 (60460391)
相原 正博 帝京科学大学, 医療科学部, 助教 (90736472)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 筋萎縮 / ストレッチング / レスベラトロール / 酸化ストレス度 / 抗酸化力 / マトリックスメタロプロテアーゼ |
研究実績の概要 |
長期間にわたるギプス固定などの不動によって、廃用性の筋萎縮や筋線維化が生じる。このため、筋力低下や筋拘縮により柔軟性が制限され、ADLの低下を引き起こす。臨床的には、その改善のためにストレッチングが行われているが、効果的な介入方法は確立されていない。私たちは前課題で、ポリフェノールの一種レスベラトロールが、先天性筋ジストロフィーモデルマウスに対して筋線維化を改善することにより筋萎縮、筋力低下を改善させることを見出した。今回、その病態に線維化が関係しているとされる廃用性筋萎縮に着目した。レスベラトロールが先天性筋ジストロフィーの慢性の筋線維化を改善するのであれば、同様に線維化を改善することにより廃用性筋萎縮も改善できるのではないかと考えた。さらに、臨床で廃用性筋萎縮や線維化の防止のため日常的に実施されているストレッチングを組み合わせることで、その相乗効果でより高い効果が得られるのではないかと仮説を立てた。本研究課題では、筋萎縮モデルマウスを用いて、ストレッチングとレスベラトロール内服併用の廃用性筋萎縮・筋拘縮に対する効果を検討することを研究目的としている。廃用性筋委縮の誘発には、従来から用いられているギプス固定法と独自に開発したベルクロ法を用い比較検討を行った。本年度は、野生型C57BL6マウスに対して筋委縮を誘発しその後再荷重を行うプロセスにおける、筋萎縮、筋線維化に関係するファクターの変動を検討した。その結果、酸化ストレス度マーカーやマイオカインやマトリックスメタロプロテアーゼ (MMPs)の中に、実験期間中に大きな変動を示すものがみられた。現在、筋萎縮誘発モデルマウスに対して、ストレッチングおよびレスベラトロールの投与を実施し、これらのファクターがどのように変化するか検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本課題で取り組んできた、野生型C57BL6マウスに対して独自に開発した方法(ベルクロ法)で筋委縮を誘発し、従来から行われているギプス固定法と比較検討を行った結果は英文誌に発表した(Aihara et al., 2017)。筋委縮を誘発しその後再荷重を行うプロセスにおける、筋萎縮、筋線維化に関係するファクターのうち、酸化ストレス度マーカー(酸化ストレス度、抗酸化力)の変動については、解析の結果を英文誌に発表した (Katsuta et al., 2018)。その他、マイオカインやマトリックスメタロプロテアーゼ (MMPs)の中に、実験期間中に大きな変動を示すものがみられた。興味深いことに、骨格筋中と血中で動態が異なるものがいくつか見出された。現在、筋萎縮誘発モデルマウスに対して、ストレッチングおよびレスベラトロールの投与を実施中で、すべて終了後にこれらのファクターが対照群と比較してどのように変化するか検討する予定である。このように、研究予定はほぼ計画通り解析が進んでいるため、おおむね順調と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は最終年度になるため、決定した条件で介入した結果をより多角的に検討し、対照群との比較でストレッチングとレスベラトロール内服併用の効果のまとめを行う計画である。さらに、それらの結果を論文にまとめて投稿することを目指したい。合わせて、研究実施計画で予定した効果の作用機序についても、解明を進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定通り、現在筋萎縮誘発モデルマウスに対して、ストレッチングおよびレスベラトロールの投与を実施中である。ただ、本年度中にはすべての投与予定は完了せず、次年度も継続する予定である。すべてが終了後に、対照群と比較してどのように変化するか解析する計画である。このような理由から、この解析に要する費用の一部は本年度中には計上しなかったため、次年度に使用額が生じた。次年度はこの解析に必要な物品の費用も含めて、研究課題をまとめるために研究費を使用する計画である。
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