研究課題
長期間にわたるギプス固定などの不動によって、廃用性の筋萎縮や筋線維化が生じる。このため、筋力低下や筋拘縮により柔軟性が制限され、ADLの低下を引き起こす。臨床的には、その改善のためにストレッチングが行われているが、効果的な介入方法は確立されていない。私たちは前課題で、ポリフェノールの一種レスベラトロールが、先天性筋ジストロフィーモデルマウスに対して筋線維化を改善することにより筋萎縮、筋力低下を改善させることを見出した。今回、その病態に線維化が関係しているとされる廃用性筋萎縮に着目した。レスベラトロールが先天性筋ジストロフィーの慢性の筋線維化を改善するのであれば、同様に線維化を改善することにより廃用性筋萎縮も改善できるのではないかと考えた。さらに、臨床で廃用性筋萎縮や線維化の防止のため日常的に実施されているストレッチングを組み合わせることで、その相乗効果でより高い効果が得られるのではないかと仮説を立てた。本研究課題では、筋萎縮モデルマウスを用いて、ストレッチングとレスベラトロール内服併用の廃用性筋萎縮・筋拘縮に対する効果を検討することを研究目的としている。昨年度までに、野生型C57BL6マウスに対して筋委縮を誘発し、その後再荷重を行うプロセスにおける筋萎縮、筋線維化に関係するファクターの変動を検討した。本年度は、筋萎縮誘発モデルマウスに対して、ストレッチングおよびレスベラトロールの投与を実施し、その効果を検討した。骨格筋の萎縮誘発には、従来から用いられているギプス固定法を用いた。ストレッチングは徒手的に実施し、レスベラトロールは食餌中に混ぜて経口摂取させた。その結果、ストレッチングとレスベラトロール内服併用群と対照群では、体重と骨格筋湿重量に関して明らかな有意な差はみられなかった。
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Journal of neurology, neurosurgery, and psychiatry
巻: 90 ページ: 529 536
10.1136/jnnp-2018-317964
http://www.ntu.ac.jp/research/kyoin/iryou/pt/hagiwara.html