研究課題/領域番号 |
16K01526
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研究機関 | 鈴鹿医療科学大学 |
研究代表者 |
浅田 啓嗣 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 准教授 (10440851)
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研究分担者 |
渡邊 晶規 名古屋学院大学, リハビリテーション学部, 准教授 (60460549)
小島 聖 金城大学, 保健医療学部, 講師 (30454242)
高木 都 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (00033358)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | メカニカルストレス / 滑膜 / カルシウムイオン / 膝関節 / 変形性関節症 |
研究実績の概要 |
滑膜細胞へのメカニカルストレス(MS)に対する情報伝達経路:滑膜組織へのMSは滑膜組織から神経組織へカルシウム依存性の情報伝達を行うことを明らかにした。また、滑膜細胞の反応には小胞体からカルシウムの遊離、TRPV4チャネルが関わっている可能性があることを示した。さらに正常マウス滑膜細胞におけるCRACの有無について検証した。MSに対する滑膜細胞の反応はCRAC阻害剤であるYM58483投与しても変化が見られなかった。さらに細胞外カルシウムが無い状態でタプシガルギンを投与した後、灌流液カルシウム濃度を2mMに変化させても細胞質へのカルシウム流入は観察されなかった。これらの結果から、正常マウス滑膜細胞ではCRACが発現していない、もしくは活性化されない可能性が示唆された。 早期OAモデルの作成と検証:14週齢および10ヶ月齢の正常マウスを対象に、自発運動量を比較検討した。自発運動量の計測は、ビームセンサー式自発運動量測定システム(PanLab社製)を用いた。その結果、14週齢における24時間当たりの総自発運動量は34,188±1,172回、10ヶ月齢の総自発運動量は19,410±448回となり、加齢により自発運動量の低下が認められた。次に10ヶ月齢のマウスにDMM手術を施行し自発運動量を計測した、外科的操作翌日の総自発運動量は7,860±245回、1週後で13,733±861回、8週後で18,815±889回であった。外科的操作直後は自発運動量の低下が認められたが、時間経過とともに活動量は増加した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
滑膜細胞のメカニカルストレスに対する神経細胞との相互作用の検証においては条件設定に難渋しているが、カルシウムイオン依存性の情報伝達経路については概ね結論を導くことができた。滑膜細胞は効率性を重視し購入した細胞を使用していたが、生産中止となった。組織から単離した細胞に変更することになり、条件設定を再考することになった。 早期関節症モデルの作製と組織学的検証に関して、最適なOAモデルの確立に向けて検証は進んでおり、次のステップの研究を始めている。
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今後の研究の推進方策 |
細胞実験においては初期培養した滑膜細胞と神経細胞の共培養における条件設定をすすめ、神経―滑膜の相互作用メカニズムの検証を行う予定である。 早期関節症モデル作成に関しては高齢マウスおよび術後長期経過後のマウスを使用し、運動および組織の状態を検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予想以上に消耗品が安く購入できたので、わずかな残金が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
消耗品には時期により金額が変化する場合があるので、状況をみながら使用する。
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