研究課題/領域番号 |
16K01540
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
横川 正美 金沢大学, 保健学系, 准教授 (80303288)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 認知症 / 理学療法士 / 動作介助 |
研究実績の概要 |
認知症を有する方の日常生活において、介護者が動作を誘導したり介助することがある。ご家族など身近な介護者による適切な介護は、認知症の方の快適に身体活動を促すことに貢献する。反対に認知症の方への適切とはいえない介護により、時には認知症の周辺症状(妄想、徘徊、興奮、暴言)が悪化する場合もある。理学療法士は起きる、座る、立ち上がる、歩くなど、基本的な動作の維持・改善の働きかけを得意とする。これによって対象者の動作の習得と身体機能の維持改善を図り、介護者に介助方法をアドバイスする。そこで、認知症を有する方に対して理学療法士が行う動作の誘導・介助の方法をマニュアル化できれば、介護者に広く提示できると考え研究を計画した。 当該年度は調査準備として、1)医学倫理審査委員会への申請手続、2)理学療法士への協力依頼、3)インタビューガイドの作成、4)分析装置による予備解析を行った。調査準備が整った後、協力依頼の承諾を得られた理学療法士3名に対し、調査を行った。調査は、A)治療場面における理学療法士の動作の誘導・介助方法の観察、B)理学療法士へのインタビュー、C)理学療法士の経験年数と所属した施設の分類、治療を受けた認知症の方の基本特性に関する情報収集であった。A)は寝返り、起き上がり、座位、立位、歩行の基本的な動作のうち、治療中に行った姿勢や動作の観察およびビデオ撮影を行った。B)は、治療中に撮影したビデオ画像を理学療法士とともに見ながら、理学療法士が治療中に行った対象者への動作の誘導・介助方法について、その方法で行う背景や理由、実施の際に配慮している点に関して、インタビューガイドに沿って聴取した。C)はあらかじめ作成した用紙を配布し、理学療法士に記載してもらった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調査にあたり、理学療法士への協力依頼と承諾に加えて、理学療法士が所属する施設の長、所属する施設の関連部署および、理学療法を受ける対象者の方々への協力依頼と承諾を得るための手続きに関する時間の見積もりが不十分であった。結果として、3名の理学療法士にご協力いただき、調査できたが、当該年度中に予定していた調査後のビデオ画像の分析およびインタビュー後の逐語録作成は未実施である。
|
今後の研究の推進方策 |
新たに数名の理学療法士に対する調査を実施予定である。また、調査時に撮影したビデオ画像の分析、インタビューにおける逐語録を作成する。 なお、研究計画では臨床経験5年以上の理学療法士を対象としていたが、5年未満の者についても対象者に含める予定である。理由は、高齢者施設に勤務する理学療法士では、認知症を有する方を担当する機会が多く、5年目以下であっても動作誘導や介助に習熟していることが確認できたためである。
|
次年度使用額が生じた理由 |
調査協力依頼の手続きに時間を要したため、今年度に予定していた調査後のビデオ画像の分析およびインタビュー後の逐語録作成は未実施となった。このため、分析補助者への謝金の支出がなかった。また、調査データを分析した後の解釈について打ち合わせを行う予定だったが、開催されていないため、旅費の支出も予定より少ない金額となった。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度は今年度、未実施であった調査データ分析を行うため、分析補助者に対して、謝金を支払う予定である。また、調査データ分析後の解釈について、打ち合わせを行う際の旅費の支出を予定している。 研究計画段階で次年度も調査を予定しており、計画に沿って調査を継続する予定である。また、関連学会に出席し、情報収集および発表を予定している。これらの活動に旅費を支出予定である。
|