1.判定プロトコルの検討と解析ソフトの作成 これまでの研究成果をもとに,被験者の危険認知(予測)能力を手掌部発汗反応と皮膚電位反射,前頭前野脳血流反応から予測する模擬運転テストの判定プロトコルを作成し,研究者がこれまでの実験から得た若年者100例,高齢者100例の模擬運転データをもとに,以下の機能を有する解析ソフトを作成した.1)自動車運転認知行動評価装置を使用し被験者が模擬運転テストを行った際のハンドル,アクセル,ブレーキの操作反応と手掌部発汗反応,皮膚電位反射,前頭前野脳血流動態を波形としてインポートする機能.2)上記データと比較する標準波形をインポートする機能.3)停車車両の追い越し,一方通行の直進,一時停止,狭い路地での対向車すれ違い,横断者のある右折,人飛び出し等の危険シーンや危険が予測されるシーンを複数設定し,指定した範囲の波形を切り出し,被験者の波形と標準的な波形を比較して表示する機能.4)反応波形から危険予測の有無,危険認知の有無,これらの応答潜時,反応量を算出する機能. 2.実用化に向けた今後の研究の展開 本研究の最終目標は,高齢ドライバーや機能障害を有するドライバーの危険認知機能,危険予測機能を評価する模擬運転テストを実用化させることである.ビジネスモデルの可能性については,信州大学学術研究・産学官連携推進機構およびURAと連携し検討を進める.医療機関における運転評価・リハビリテーションへの活用については,既に信州大学医学部附属病院およびリハビリテーションセンター鹿教湯病院での臨床評価(共同研究)を計画している.今後は模擬運転装置やデータ解析の精度を上げ,コンピュータグラフィック(CG)映像を用いる市販の装置との比較試験を行い,本装置による模擬運転テストの危険認知・危険予測評価の優位性を検証する.
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