研究課題/領域番号 |
16K01544
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
森田 良文 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00241224)
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研究分担者 |
田邉 浩文 湘南医療大学, 保健医療学部リハビリテーション学科作業療法学専攻, 教授 (00769747)
佐藤 徳孝 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60574374)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ロボット / ニューロリハビリテーション / 脳卒中 / トレーニング / 運動機能回復 / 分離運動 / 促通 |
研究実績の概要 |
これまでに維持期における脳卒中片麻痺患者の上肢運動機能回復のためのニューロリハビリロボットNR-Roboを開発してきた.そのNR-Roboによるトレーニングが患者一人一人に適したテーラーメイド治療を可能とするために,NR-Roboの有する促通機能の調整アルゴリズムを開発することを目的とする.そこで平成28年度は以下を実施した. 1.NR-Roboは,患者本人が自ら腕を動かせるように正常な筋収縮を促すための促通機能がある.それらを回復状態に合わせて調整できる促通機能調整システムを構築した.具体的には,①抵抗機能の調整と②運動拘束機能の調整を可能にした. 2.トレーニング中にリアルタイムで患者の身体状態をモニタできる身体状態モニタシステムを構築した.具体的には,ロボットアームの回転角度,前腕回内外角度,および肘屈伸筋の筋電図の計測による筋収縮の促通効果のモニタ、さらに肘伸展時の前腕の回内外の共同運動からの分離学習効果のモニタを可能にした. 3.上記2つのシステムを組み込んだNR-Roboによるトレーニングを,健常者ならびに脳卒中片麻痺者に適用し,健常者に対しては促通機能の安全性と信頼性を検証し,脳卒中片麻痺者に対しては上記2つのシステムの有用性を検証した.特に,療法士の徒手治療による回復効果の評価結果とNR-Roboの身体状態モニタシステムによる治療前後の評価結果との関連性を調べることにより,身体状態モニタシステムの有用性を明らかにした. 4.上記のNR-Roboによるトレーニングを脳卒中片麻痺者に適用し,運動機能の回復トレーニングの臨床試験を実施した.そこでは,促通機能の調整パラメータの変更に対するトレーニング中の片麻痺者の身体状態を計測することで一定の知見を得た.これにより,平成29年度課題の準備を前倒しで行うことが出来た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度の実施計画において,実施できなかったことは以下の通りである. 研究実績の概要の1.で述べた「促通機能調整システムの構築」は,当初,3つの実施項目からなっていた.しかしながら,脳卒中片麻痺者による被験者実験の様子から,3つの実施項目を2つに分けて順番に実施する方が,研究の後戻りが少なく,研究成果が得やすいと判断した.そこで,3つの実施項目のうち①抵抗機能の調整と②運動拘束機能の調整のためのシステムの構築は平成28年度に実施し,③肘関節圧迫機能の調整のためのシステムの構築については平成29年度に実施することとした. 一方,平成29年度の実施計画の中で,前倒しで平成28年度に実施したことは以下の通りである. 上記のNR-Roboによるトレーニングを脳卒中片麻痺者に適用し,運動機能の回復トレーニングの臨床試験を実施した.そこでは,促通機能の調整パラメータの変更に対するトレーニング中の片麻痺者の身体状態を計測することで一定の知見を得た.これにより,平成29年度課題の準備を前倒しで行うことが出来た. 以上のことを踏まえ,おおむね順調に進展しているすると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度の研究計画は以下の通りである. 1.現状のNR-Roboによるトレーニングを脳卒中片麻痺者に適用し,二つの促通機能(①抵抗機能と②運動拘束機能)の調整パラメータの変更に対するトレーニング中の片麻痺者の身体状態を計測し,それらの相関解析を行うことで,促通機能の調整パラメータと片麻痺者の身体状態との関連性を明らかにする. 2.③肘関節圧迫機能の調整システムを構築し,それを促通機能調整システムとしてNR-Roboに組み込む.健常者による被験者実験から安全性を検証する. 3.③肘関節圧迫機能の調整システムを組み込んだNR-Roboによるトレーニングを脳卒中片麻痺者に適用し,三つの促通機能(①抵抗機能、②運動拘束機能、および③肘関節圧迫機能)の調整パラメータの変更に対するトレーニング中の片麻痺者の身体状態を計測し,それらの相関解析を行うことで,促通機能の調整パラメータと片麻痺者の身体状態との関連性を明らかにする. 平成30年度の研究計画は,平成29年度の解析結果に基づいて,片麻痺者の身体状態に応じて促通機能を最大限に発揮する促通機能の調整パラメータを決める調整アルゴリズムを開発する.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた主な原因は,研究分担者2名の旅費各5万円の未使用である.これは,研究代表者が研究分担者との打合せの開催時期と開催場所を事前に調整した結果,全員の都合が上手く一致したことにより旅費が発生しなかったためである.
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次年度使用額の使用計画 |
研究分担者2名の打合せのための旅費として使用予定である.
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