研究課題/領域番号 |
16K01549
|
研究機関 | 大阪工業大学 |
研究代表者 |
吉川 雅博 大阪工業大学, ロボティクス&デザイン工学部, 准教授 (40584511)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 義手 / 3Dプリンタ |
研究実績の概要 |
平成29年度は1)空気圧人工筋により駆動する5指義手,2)距離センサアレイを用いた動作意図のセンシング方法,3)上腕装飾義手,の3項目について重点的に研究を行った. 1)空気圧人工筋により駆動する5指義手 湾曲型空気圧人工筋を骨格に用いて5指義手を駆動する方式を検討した.湾曲型空気圧人工筋は伸縮率の異なる布でゴムチューブを挟み込む構造を持ち,空気圧により湾曲する性質を持つ.これを義手の骨格に用いることで,自然な指の開閉動作を実現した.人工筋により様々な形状の日用品を柔軟に把持可能であり,電動モータを用いる場合と比べて軽量(ハンドのみで約250g)となった.前腕切断者によるユーザ評価を行った結果,様々な日用品を把持でき,良好な結果を得た. 2)距離センサアレイを用いた動作意図のセンシング方法 距離センサアレイを用いて前腕の形状変化を計測し,動作意図を検出する手法を検討した.サポートベクトル回帰(SVR)を用いて,新たに開発した距離センサアレイによって得られた前腕形状から関節角度レベルで手の動作意図を推定する手法を開発した. 3)上腕装飾義手 上腕切断者に対応するため,上腕装飾義手を開発した.市販の装飾義手の骨格を3Dスキャンした3D形状データを基に,受動的に可動する装飾ハンドおよび肘関節,ユーザが実際に装着するために必要な肩装具も開発した.実際に装着できるレベルまで開発し,上腕義手ユーザによる評価を行った.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画における研究項目は以下の6つである.1)能動的な把持と受動的な動作を軽量・低コストで実現する指機構,2)手に酷似した外観を備え,指機構と親和性の高いシリコングローブの開発,3)使用者の操作意図を検出するセンシング手法の開発,4)電動義手を容易に装着可能とするサポータソケットの開発,5)上腕切断にも適用可能な肘継ぎ手の開発,6)使用評価に基づく義手のブラッシュアップ.このうち,4)以外を除く項目に関しては,研究が順調に進んでいるため,おおむね順調に進展しているといえる.
|
今後の研究の推進方策 |
上記の研究項目の4)電動義手を容易に装着可能とするサポータソケットの開発,については研究が遅れているので,ソケット形状を自動生成する方向で研究に取り組んでいく.その他の項目については,ブラッシュアップを継続していく.
|
次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 平成29年度は計画していた国際会議に参加しなかったため,次年度に繰り越した. (使用計画) 国際会議に採択されたため,旅費に使用する予定である.
|