研究課題
本研究は、コミュニケーションエイドの一つであるSTalk2の使用履歴を分析した情報を可視化し、適切なタイミングや頻度で提示することにより、障害児とのコミュニケーションにおける支援者(会話のパートナー)の適切な行動変容を促す手法の研究開発を目的としている。2018年度は、STalk2の使用履歴に含まれる位置情報および時間情報によって、使用した語彙のデータをコンテキストに分割し、TF-IDFスコアで抽出した特定のコンテキストにおける特徴的な語彙等を予測候補として提案する機能を実装した。これは、複雑な手順を単純にすることで必要な労力を減らし、行動を促すものであり、Persuasive Technologyの設計原則の1つである「手順の省略」をコミュニケーションエイドに導入したものである。学生9名による実験では、特別支援学校での使用事例をもとに作成した課題において、上記機能を使用することによる時間短縮効果を測定した。その結果、STalk2を用いて視覚シンボルで構成されるメッセージを提示するまでの準備時間は、予定伝達、振り返り等の4用途で有意に短くなることがわかった(p<0.05)。特別支援学校での用途別頻度調査の結果に当てはめると、メッセージ準備時間を0.652±0.02倍に短縮することが期待できる。支援機器の効果測定は、実際のコンテキストで、実際のユーザによる長期評価を行うことが欠かせない。そのため、特別支援学校13クラスにおいて、新機能の有無による使用方法の違いについてダイアリー調査を実施した。この調査に置いて収集したデータを分析することが今年度の主な目的となる。
3: やや遅れている
行動変容を促す機能の実装および特別支援学校におけるデータ収集に当初計画で想定した以上の時間を要しているため。
昨年度までに収集したデータの分析を中心に行う。また、分析をより精緻に行うため、追加のケーススタディを実施する。
進捗がやや遅れており、研究期間を延長し、収集したデータをより精緻に分析して、論文投稿等を行うため。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Universal Access in Human-Computer Interaction. Methods, Technologies, and Users 2018. Lecture Notes in Computer Science
巻: 10907 ページ: 530~541
https://doi.org/10.1007/978-3-319-92049-8_38