研究課題
意思表出や会話理解を促す視覚シンボルは、教員や保護者、言語聴覚士などのパートナーが事前に準備し、障害児に提示する場合が多い。しかし、パートナーが事前に準備した語彙だけでは、障害児の興味やニーズに対応するのが困難なため、言語発達に意図せず制限をかける可能性がある。そのため、パートナーが、会話の流れに沿った視覚シンボルをその場で提示できるようにすることが望ましい(just-in-time language acquisition: JIT)。そこで本研究では、コミュニケーション支援アプリであるSTalk2に、使用履歴に基づく視覚シンボル予測機能を開発し、それによってパートナーにJITに関連する行動変容が生じたかを評価した。具体的には、特別支援学校7クラスを対象として、使用履歴に基づき算出したアプリの使用頻度を、pairwise data overlap(以下、PDO)を用いて、視覚シンボル予測機能の有無で比較した。さらにクラス担任がアンケートに回答したメッセージの準備時間の変化及びその理由と組み合わせて分析を行った。使用頻度が増え、かつ、メッセージの準備時間が短縮したのは4クラスであり、視覚シンボル予測機能の導入が行動変容につながったと考えられる。しかし、残りの3クラスについては使用頻度が減少しており、内訳は、メッセージの準備時間が短縮されたのが2クラス、そうでなかったのが1クラスであった。理由として、視覚シンボル予測機能に不慣れであったことが挙げられており、学習しやすさを改善し、教員の習熟度が高まれば、さらなる行動変容につながったと考えられる。
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Human Interaction and Emerging Technologies. IHIET 2019. Advances in Intelligent Systems and Computing
巻: 1018 ページ: 73~77
https://doi.org/10.1007/978-3-030-25629-6_12