研究課題/領域番号 |
16K01554
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
タン ジュークイ 九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (40363395)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | マイビジョン / 歩行解析 / 歩行改善 / 高齢者支援 |
研究実績の概要 |
H28年度は,(i)画像における回転姿勢情報のオフセットを求める手法を開発し,また,カメラ装着者(利用者,特に高齢者)の微小歩行(静止状態)時の画像を用いて, (ii)利用者の初期姿勢の導出法,及び(iii)歩行時の道路平面の推定法を開発し,これらの手法の有効性を実験的に確認した. (i)画像から取得されるカメラの3次元回転姿勢情報のオフセットを求めるため,カメラと,背景の平面に対して水平となる水準器を3脚に設置する.カメラから得られるX-Y-Zの3軸回りの回転に対応する画像から各回転時の特徴点を抽出し,エピポーラ幾何に基づいてカメラの3次元回転姿勢を求める.次に,(ii)利用者が静止時の映像から微小に移動した時の2画像を利用して,静止状態の姿勢を推定する.Harrisコーナー検出器を用いて一方の画像上で特徴点の抽出を行い,LK追跡器により2画像間で特徴点の追跡を行う.得られた特徴点のペアを用いてエピポーラ幾何に基づいてカメラの3次元姿勢情報の推定を行い,利用者の静止姿勢を求め,これを初期姿勢とする.(iii)利用者の歩行時の道路平面を推定するため,Graph Based Image Segmentationを用いて画像の領域分割により歩行道路面と考えられる領域を求める.微小移動する2画像間の歩行道路領域から特徴点を抽出し,エピポーラ幾何を用いて特徴点の3次元情報を算出し,道路平面の推定を行い,これを初期道路平面とする.次に歩行時の道路平面を逐次求め,初期道路平面との角度差を求める. 水準器から取得されるX-Y-Zの各軸回りの回転情報と,画像から求められる各軸回りの回転角度の平均2乗誤差平方根(RMSE)を求めた.その結果,X-Y-Zの各軸におけるRMSEはそれぞれ1.86°,2.25°,1.22°,また道路平面の平均RMSEは21.64°を得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,(1)利用者に装着するカメラの3次元姿勢情報を,そのカメラの映像から導出する方法,(2)利用者の初期姿勢の推定法,(3)利用者が歩行する道路平面の推定法等を開発し,その有効性を実験的に確認したため.
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は,今後次の点を中心に研究を推進していく. ・カメラ映像上の特徴量に基づく歩行者の姿勢推定法の更なる精度向上を目指す. ・歩行道路領域の分割法と道路平面の推定法の精度向上を図る.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度の研究課題はおおむね達成されたが,本研究課題は歩行者が屋外で歩行する実環境を対象とする,複雑な背景映像と歩行周期の処理が前提であるため,各手法の開発に予定より長い期間を要した.そのため,3脚に設置されたカメラの映像から一部オフラインで検証実験を行った.よって,歩行姿勢に影響を与えない高性能及び十分軽量化された機器の購入や謝金の使用は行わなかった. また特許申請する予定のため,論文発表や国際会議発表,また展示会発表等は,総合的手法の特許申請を行ってから行うこととした.
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に開発した諸手法の改善及び屋外歩行環境時の手法開発と検証を行うため,平成29年度は高性能かつ軽量のノートパソコンとウェアラブルカメラ及び軽量水準器を購入する.また,映像取得と3次元データベースの作成および実験を行うため,補助者(大学院生)に謝金を支給する.
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