研究実績の概要 |
手指と手首の関連が重要であるにもかかわらず,その効率的な訓練や評価手法が確立されていない背景には,この部位の解剖学的特徴が関連している.手指や手首を動かす筋肉は多くが手首をまたいで腱で接合されている.例えば,テノデーシスアクションのように手首の背屈時に自動的に手指の屈曲が誘発される.また,前腕部には手指,手首,肘の動作に関する細かな筋が集中している.近年,手指,手首の促通のために電気刺激が用いられる場合もあるが,前腕部の筋の集中によって大まかな動作補助に限定されている.前腕部への電気刺激に手指および手首への力覚刺激を組み合わせることによって,分離運動に向けたリハビリ効果の増強が行われる可能性がある. そこで本研究では,1-2年目の取り組みによって,手指,手首の協調動作から分離学習までの効率的なリハビリテーションや評価を行うことができる新しいリハビリテーションロボット(Rehabilitation Robot for Hand, ReRoH)を開発した.ReRoHは手指姿勢計測センサ,手首回転センサ等の計測系,手首力覚提示用のERブレーキ,電気刺激装置等を有し,自身の手指・手首の動作を確認しながら,訓練できるように工夫した. 3年目には,上記,ReRoH1号機を小型,軽量化したReRoH2号機の開発を行った.ReRoH2号機は,ベッドサイドでのリハを実現するために柔軟で軽量なグローブ型の装置とした.板バネ内蔵型空気アクチュエータと関節ごとに配置した慣性センサによって,手首と手指の掌背屈,回内外を達成した.神経筋促通手技の一種である川平法の手関節リハの動作をモデル化し,これを同装置の運動目標値として制御する手法を考案した.
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