研究課題/領域番号 |
16K01559
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
安田 寿彦 滋賀県立大学, 工学部, 教授 (60157998)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 早期移動体験 / 電動移動支援機器 / ハビリテーション / 発達支援 / 福祉機器 |
研究実績の概要 |
ハンディキャップのある子どもたちの幼少期からの移動体験(早期移動体験)を支援する移動機器の開発に関して,以下のような3つの実績をあげた:昨年度の成果である介助用移動支援機器電動化ユニットのモジュール化を発展させて,介助用移動支援機器電動化ユニット,前輪駆動電動車いす,中輪駆動電動車いす,後輪駆動電動車いす,立位での移動を可能とする電動移動支援機器に使用することができる組込用駆動ユニットの構想を発案し試作した.試作した駆動ユニットを用いて,介助用移動支援機器電動化ユニット,前輪駆動電動車いすを試作して,本研究で提案する移動支援機器で共用できる組立用駆動ユニットが,様々な電動移動支援機器の製作において,製作時間と製作コストの低減のために有効であることを確認した.製作時間と製作経費の削減は,種々の移動支援機器を子どもたちのハビリテーションの普及させるために有用である.全方向電動移動支援機器には,2段昇降型の座面昇降装置を搭載して,平面的な移動能力の高さに加えて移動可能空間を上下方向にも拡張し,3次元的な環境へのアクセスを可能にすることができた.このことは,子どもたちが自分がやりたいと思ったことを自分で行えるという状況を,より広げることができ、子どもたちの自立心を育てることに役立つ.また,健常な友だちと目線を合わすことができ,人とのコミュニケーションにおいても有効である.さらに,画像センサと深度センサを搭載して,並列で人に追従する機能を追加した.このような知的な試験機能は、操作能力の低い子どもたちの自力移動に有効である. 全方位カメラを用いた「子どもたち発達」を評価システムでは,魚眼レンズによって取得した画像データを円筒面に投映する手法を発案して,移動機器の周囲の360°の様子をひとつの画像で確認することを可能とするために,観察動画生成アルゴリズムの作成に取りかかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
移動支援機器の開発に関しては,開発を予定していた機器の完成形を見通すことができた.組立用駆動ユニットの発想を得たことは,子どもたちの早期移動体験に様々な移動支援機器を普及させるために有効である.全方向移動支援機器の機能拡張は,子どもたちが自分自身でできることを広げることができる点が大きい成果である.子どもたちの発達を評価するシステムにおいては,全方位カメラで取得したデータをどのように表示するかということが課題であったが,この課題を進めることができた.2018年度中には,学術講演会での研究成果公表を6件実施した.
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今後の研究の推進方策 |
組立用駆動ユニットを使用して立位で移動可能な移動体験機器を製作すること,全方向移動支援機器においては人追従機能を拡張して縦列から並列への自動切替機能などを生成することおよび子どもたちが衝突を経験できるようにするバンパーの搭載を予定している.これらによって子どもたちの早期移動体験に使用するために、本研究で構想している電動移動支援機器の全容を提示する.子どもたちの発達を評価するシステムは,評価に使用する画面を生成して,理学療法士など現場の方々とディスカッションしながら,評価方法を提案する.
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次年度使用額が生じた理由 |
組込用駆動ユニットを用いた移動支援機器の製作の内,立位での移動を可能とする移動支援機器の製作が2018年度に実施できなかった.本年度に,この機器を製作を実施し,その有効性を確認する.
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備考 |
ハンディキャップのある子どもたちのハビリテーションのための電動移動支援機器の普及のための製作ワークショップを企画実施している.
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