研究課題/領域番号 |
16K01563
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
浅野 朝秋 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30550537)
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研究分担者 |
津軽谷 恵 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50333943)
王 治文 東北文化学園大学, 健康社会システム研究科, 准教授 (60382694)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ライフレビュー / インタビューガイド / 回想法 / 語の流暢性 |
研究実績の概要 |
平成28年度のパイロットライフレビューを経て作成した、ライフレビューガイドを用いて、平成29年3月から9月にかけて、認知症高齢者(被験者36名)に対して、異なる条件で(①初対面学生がインタビューガイドを用いた場合、②初対面学生がインタビューガイドを用いない条件、③被験者をよく知るスタッフがインタビューガイドを用いない条件)ライフレビューをそれぞれおこない、述べ108回のライフレビューを実施した。そのライフレビューの逐語録を作成し、語られた情報量(総表出語数、総語彙数)を評価尺度として、ライフレビューガイドの有用性を検討した。結果、被験者に初対面の学生インタビュアであっても、被験者をよく知るスタッフに匹敵する情報量が得られることが検証された。 さらに、語られた情報をもとに被験者個々人のアルバムをパワーポイントで作成し、平成29年11月~平成29年3月にかけて、メモリーブック(紙媒体に印刷したもの)およびメモリースライド(タブレットにダウンロードしたもの)に加工して、個別回想療法の介入を3期にわけて各6週間実施し、34名分の個人回想療法介入データを得た(死亡1名およびインフルエンザのため実験延期になった1名を除く)。その結果、認知機能に関してはMMSE・HDS-Rともに有意な数点の上昇を認めた。その内容を精査したところ、上昇分は語の流暢性の改善に負うところが大きいことが認められた。尚、行動心理症状および介護負担感に関しての分析は今年度前期を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は被験者確保が遅れ、6月迄に完了する予定のライフレビューが3か月遅れたものの、逐語録作成~個別アルバム作成のプロセスを効率よく進めた結果、ほぼ予定通りに個別回想法の介入にこぎつけることに成功した。しかしながら、回想法データの採取期間が冬季だったこともあり、被験者の体調不良や施設側におけるインフルエンザの流行により、年度内に全データを採取することはできず、1名のみ平成30年度に持ち越した。
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今後の研究の推進方策 |
回想法介入結果としての、行動心理症状および介護負担感に関しての分析を4~6月に予定している。現在回想法介入中の残る1名分のデータも追加して、認知機能に関する再集計をおこなう。また、認知機能に関しては介入終了後3か月後のデータも追加で採取して、介入の持続効果を検討する。 本研究の集計・分析結果が出そろう7月移行は、本研究を、①ガイド付きインタビューシートの有用性、②個別回想療法が認知機能に与える影響について、③メモリーブックとメモリースライドの比較検討の3領域に大別し、それぞれ論文化して学術雑誌への投稿をおこなう。①②に関しては研究代表者が担当し、③に関しては研究分担者が主に担当する予定である。 また前年度は、パイロット研究から得られた結果を2学会で発表したが、今年度は本研究の中間結果から得られた結果をもとに、同様に2学会(6月および9月)において、成果を発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
被験者および研究協力施設側の事情で回想法データ収集が本年度に1名ずれ込んだ分と、データの分析に学生アルバイトを予定していたが、生産性向上のため研究代表者および分担研究者が自ら作業し、外注分が減少したことによる。 次年度に繰り越した分に関しては、前述1名分のデータ収集と、追加で収集する3か月後データの採取で使用する予定である。
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