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2016 年度 実施状況報告書

楽器演奏型ビデオゲームを用いた脳梗塞リハビリテーション効果の神経科学的アプローチ

研究課題

研究課題/領域番号 16K01565
研究機関獨協医科大学

研究代表者

橘 篤導  獨協医科大学, 医学部, 助教 (80409995)

研究分担者 小野 弓絵  明治大学, 理工学部, 専任准教授 (10360207)
田口 大輔  帝京大学, 医療技術学部, 講師 (00390112)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードリハビリテーション / 脳梗塞 / ビデオゲーム / fNIRS / 脳機能イメージング法
研究実績の概要

脳梗塞は、日本人の死亡原因の中でも多くを占める高頻度な疾患であり、後遺症を残して介護が必要となることが多く、福祉の面でも大きな課題を伴う。研究代表者らは、これまでにパーキンソン病運動症状に対するリハビリ法としてバーチャルリアリティによるダンスビデオゲーム (DDR, Konami) のトレーニングを用いた際の効果を運動学的および神経科学的観点から評価する独創的なプロジェクトを立ち上げ、成果を出してきた。その際、同様のトレーニング法を脳梗塞の経験があるボランティア被験者に取り入れたところ有意な運動および認知機能の向上がみられた。そのような行動学的効果のメカニズムについて、本研究ではビデオゲームによるトレーニングと先端的な脳機能イメージング法を用い神経科学的に解明することで、新しいリハビリ法を確立して脳梗塞患者の「生活の質」の向上を目指し、幅広く社会に貢献することを目的とした。脳梗塞の程度や脳部位によっては、起立姿勢維持やステップが困難な場合もありうる為、また過度な全身運動は再発の懸念もある為、DDRと同様の様式を手指の運動で行うことが可能なギター型のコントローラーによる楽器演奏の要素を含んだゲーム「Rock Band, PlayStation, Sony」を用いることとした。このビデオゲームは、世界的に普及し市販されている安価なものであり、一般的な運動療法と異なり、モニター画面やスピーカーからの視覚情報・聴覚情報を外界のキューとして、自発的にタイミングや空間認知を養う要素が多様に含まれていることが特徴としてあげられる。ビデオゲームによる脳梗塞患者のリハビリ法導入の有効性を、行動学的観点からだけでなく神経科学的側面からも裏付けを行い、本トレーニングによって運動制御および認知機能のメカニズムの改善がどのようになされるのか脳神経系のシステマティックな変化を解明することを目指す。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初申請した科研費の計画書の内容と同等の進捗状況である。研究初年度となる2016年度は、本研究の実施にあたり研究分担者、連携研究者、研究協力者らと共に、倫理委員会への申請、および実験環境のセットアップを行い体制を整えると共に、光トポグラフィ(fNIRS)を用い健常被験者における研究コンセプトを検証する為の予備実験を行った。これにより、認知課題のスキルに応じた前頭極と背外側前頭前野における活動での機能的な役割分担を相違が確認された。具体的には、前頭極では長期記憶や情動に関連する機能、背外側前頭前野では短期記憶や自己制御に関連する機能を担っていることが示唆された。これらの結果は第122回日本解剖学会総会全国学術集会にて報告を行うと共に、査読付き国際誌への投稿を行う予定である。更に、前述の予備実験を行いながら本実験における研究内容について、研究代表者が所属する学内の倫理委員会に申請を済ませ、承認後には速やかに脳梗塞被験者および健常被験者のグループに分けてボランティア被験者を募り、fNIRSのデータを取り始めることで本実験の着手に至っている。連携研究者として新たに獨協医科大学・神経内科の辰元宗人准教授が参加したことで脳梗塞被験者の募集ルートが追加されると共に、楽器演奏型ビデオゲームのトレーニング前後で行うスケール診断(徒手筋力テスト、ミニメンタルステート検査等)の詳細な結果を得ることも可能となった。また、トレーニング前後での運動機能の向上を確認する方法として、タッピングテストやピンチテスト等も追加で取り入れることとした。このような現在までの進捗状況を基に、次年度の研究体制を築いていく予定である。

今後の研究の推進方策

初年度に行われた予備実験等の準備を基に、脳梗塞被験者および健常被験者のグループに分けてボランティア被験者を募り、楽器演奏型ビデオゲームによるトレーニング前後のfNIRSデータ、行動学データ、スケール診断データを取り始めることで本実験を軌道に乗せる。脳梗塞被験者に対するfNIRS実験においては、機器を設置している獨協医科大学・解剖学(組織)講座までの移動の負担を軽減させるため、新たに携帯型のfNIRS(Hb-13、ASTEM)を導入する。これにより研究代表者が、脳梗塞被験者宅に直接訪れ実験を行うことも可能となる予定である。この手法については、初年度の段階で学内の倫理委員会から承認を得ており、インフォームドコンセントが得られた被験者から実験が行える態勢が既に整えられている状態である。以上の手順・方法を基に、被験者数を増やしていくと共にデータ収集・解析を行い、研究代表者および研究分担者、連携研究者、研究協力者全員により、楽器演奏型ビデオゲームを用いた脳梗塞リハビリ法の有用性を行動学的および神経科学的両側面から検討し、それらを統合的に評価することを予定している。

次年度使用額が生じた理由

実験環境を立ち上げる際に、研究分担者の明治大学・小野弓絵教授より携帯型の光トポグラフィ(fNIRS)の利便性の情報を得る機会があり、本研究においてもASTEM社製の携帯型fNIRS、Hb-13導入することを検討した。そこで次年度以降にこのHb-13を購入し本研究に導入するために予定を変更し、初年度の資金の使用を極力控え、次年度および最終年度にHb-13本体と付属機器を購入し、本研究の実験に用いることとした。

次年度使用額の使用計画

脳梗塞被験者に対するfNIRS実験においては、機器を設置している獨協医科大学・解剖学(組織)講座までの移動の負担を軽減させるため、次年度より新たに携帯型のfNIRS(Hb-13、ASTEM)を導入する。これにより研究代表者が、脳梗塞被験者宅に直接訪れ実験を行うこと等も可能となり実験環境の利便性が向上することとなる。この手法については、初年度の段階で学内の倫理委員会からも承認を得ており、インフォームドコンセントが得られた被験者から実験が行える態勢が既に整えられている状態である。以上の手順・方法を基に、被験者数を増やしていくと共にデータ収集・解析を行い、研究代表者および研究分担者、連携研究者、研究協力者全員により、楽器演奏型ビデオゲームを用いた脳梗塞リハビリ法の有用性を行動学的および神経科学的両側面から検討し、それらを統合的に評価することを予定している。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [国際共同研究] Yale School of Medicine(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      Yale School of Medicine
  • [雑誌論文] Crossmodal Association of Visual and Haptic Material Properties of Objects in the Monkey Ventral Visual Cortex2016

    • 著者名/発表者名
      Goda N, Yokoi I, Tachibana A, Minamimoto T, Komatsu H.
    • 雑誌名

      Current Biology

      巻: 4;26(7) ページ: 928-934

    • DOI

      10.1016/j.cub.2016.02.003.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 創作活動に関わる前頭前野各領野の機能分担とその評価2017

    • 著者名/発表者名
      橘篤導、小野弓絵、J Adam Noah、田口大輔、門脇太郎、上田秀一
    • 学会等名
      第122回日本解剖学会総会全国学術集会
    • 発表場所
      長崎大学(長崎県長崎市)
    • 年月日
      2017-03-30 – 2017-03-30

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公開日: 2018-01-16   更新日: 2022-02-16  

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