研究課題/領域番号 |
16K01571
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研究機関 | 関東学院大学 |
研究代表者 |
中野 幸夫 関東学院大学, 理工学部, 教授 (10371254)
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研究分担者 |
上野 剛 一般財団法人電力中央研究所, エネルギーイノベーション創発センター, 主任研究員 (50516622)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 独居高齢者 / 見守りシステム / 熱中症予防システム / スマートメーター |
研究実績の概要 |
スマートメーターで得られる世帯の30分間総負荷電力量とその粒度(細かさ)を想定し、過去に収集した独居高齢者11世帯の1分毎総負荷電流と生活状況(時間帯別の在宅・不在状況)のデータを、開発中の見守りアルゴリズム(「変動評価法」と「平均法」)に適用し、両者の見守り性能とその性能に及ぼす電力量粒度の影響を評価した。その結果、適切な見守りには、少なくとも0.01kWhの電力量粒度が必要なこと、変動評価法のほうが平均法より性能がよいこと、両者の併用が見守り性能の向上に有効なこと、さらには夫々の見守りパラメータの暫定最適値などが明らかになった。これらの成果は電気学会の電子・情報・システム部門大会および全国大会で発表した。また、電気学会論文誌に投稿した。 また、スマートメーターで得られる世帯の1分毎総負荷電力想定し、過去に収集した上記とは別の独居高齢者15世帯のうち異常事態事例(居住者が重篤な状況に陥って入院し、その後、死亡)が発生した3世帯に、開発中の見守りアルゴリズム(「L値積分法」)を適用し、居住者に発生する異常事態の予兆を捉えることを目的に評価を行った。異常事態3件のうち、1件は予兆を明確に捉えることができ、1件は概ね捉えることができたと判断し、残る1件は捉えることが難しいと判断した。成果は関東学院大学の理工/建築・環境学会研究報告に投稿し、掲載された。 さらに、大阪大学から使用許諾を受けた、38世帯の30分間総負荷電力量とエアコン消費電力量ならびに外気温度データのうち4世帯分に対して、開発中の熱中症予防システムのアルゴリズムを適用し、夏季高温時の居室エアコンの動作状況の推定可否を評価した。エアコンの動作推定および不動作推定ともに正解率は概ね90%かそれ以上となり、熱中症予防システムは実現可能と判断した。この成果は電気学会の電子・情報・システム部門大会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度計画である(1)「生活状態把握手法の開発」および(2)「エアコン動作状態把握手法の開発」については、上記「研究実績の概要」欄に記した通り、ほぼ計画通りに作業が進捗するとともに、期待された成果が概ね得られている。また、平成29年度計画において、(1)および(2)に追加される(3)「見守り・熱中症予防システムの有効性の検証」に必要な「見守り・熱中症予防システムのプロトタイプ」の構築準備が進むとともに、「独居高齢者を対象にした検証試験」に必要な、学内の「人に関する研究倫理審査委員会」での計画審査のための申請手続きを完了している。
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今後の研究の推進方策 |
(1)「生活状態把握手法の開発」については、平成28年度の実施事項を継続し、平成29年度前半までに、30分間総消費電力量から居住者の生活状態を推定するアルゴリズムを完成させる。 (2)「エアコン動作状態把握手法の開発」については、平成28年度の実施事項を継続し、平成29年度前半までに、30分間総消費電力量からエアコンの動作状態を推定するアルゴリズムを完成させる。 (3)「見守り・熱中症予防システムの有効性の検証」については、開発した生活状態推定アルゴリズムとエアコン動作状態推定アルゴリズムを実装した見守り・熱中症予防システムのプロトタイプを構築し、独居高齢者7世帯程度を対象に検証試験を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
成果発表を計画していた国際会議への投稿手続きが間に合わなかったことが主な理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
「見守り・熱中症予防システムのプロトタイプ・ソフトウェア」、「独居高齢者(7世帯程度)を対象にした検証試験」、「成果発表のための国内学会(2回)」、ならびに「国際会議(2回)」などのために使用する。
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