研究課題
マイクロソフト社のキネクトなどの深度センサーは、主としてゲームでの体の動きを認識するためのセンサーとして開発されたものであるが、本研究ではそれらを使って、健康づくりや病後のリハビリ、ロコモシンドローム予防、視覚障がい者のための障害物検知などを安全などの視点から生活を支援する技術を様々な応用から開発することを目的としている。初年度に挙げた成果をもとにして、2年目は、以下のような部分に力を入れた。まず、従来から行っている、体操評価システムについては、お手本体操の体の動きが採点の基本となるため、熟練者の体操を取り込む必要があるが、ラジオ体操第一については、様々なチャネルを通じて、NHKのテレビ体操・ラジオ体操を行っている指導者の体操を動画付きで入力できたほか、1級の指導者資格を持つ方3名の体操も取り込み、システムに導入した。さらに、企業体操も2件実現したほか、某大学の体操の教材にも採用されている。リハビリ分野では理学療法士の協力のもと、SIAS(脳卒中機能障害の評価)でも、キネクトの関節検知機能を利用できる動きの診断や、リープモーションによる指の動きの検知機能を用いてできる診断で、重要な成果を挙げた。また、キネクトの深度データを用いて、O脚、X脚の判定システムも作成し、運動の専門家の協力を得て、今後の展開に見通しをつけた。移動物体への装着を行って、周囲の環境を計測するシステムにおいては、床面が乱雑に散らかっているような場合でも、センサーの姿勢推定と床面からの高さを推定する実験に成功した。
2: おおむね順調に進展している
体操システムについては、多くの体操やモデルを使用できる、本格的なシステムができ、夏に2か月間、「大阪グランフロントナレッジキャピタル」で実演公開を行った。また、それ以外にも、「はんしん高齢者くらしのフェア」、「東灘食育フェア」などのイベントや、「バンドー青少年科学館での特別展示」などで実演を行い、好評を博した。大学の授業でも採用された。健康づくり・リハビリ関係では、キネクトなどの深度センサーを用いたSIASのシステム構築を行い、キネクトのBODY(関節検知)機能を用いて、座位において患肢の手を膝上に置き,その位置から手を口元まで運び,元の位置に戻す上肢近位テスト、両足底全面が床に接地する座位とし,太ももをできる限り持ち上げる下肢近位テスト、手指の分離運動を,親指から小指の順に屈曲、小指から親指の順に伸展することにより行う上肢遠位テストを実装するシステムを作り、論文化に成功したほか、体の静止姿勢の推定においても、脚形状の判定の自動化の研究が進んだ。SIASは、現在、関節検知が使えない姿勢判定においても、深度データを使った判定システムを構築中である。移動体に装着する路面検知システムシステムも、壁面と路面両方に対応した。
マイクロソフト社のキネクトが販売終了していることから、今後は、関節検知にあまり頼らないシステムに軸足を置くつもりである。今後は、今までに作ってきたシステムの精度を上げ、また、使い勝手を向上させることで、実用化を図っていく予定である。SIASの判定システムもさらに進めていくほか、フィットネスの分野での姿勢判定についても具体的なシステムづくりを行う予定である。また、静止姿勢をモニタ・判定するシステムについても、作成を進める。さらに、判定が難しいものについて、機械学習や深層学習なども援用することを考えている。
最終年度に必要とする予算が多いため、多少の節約を行った。概ね当初の予定通りに執行していく計画である。節約した予算は、最終年度に執行する。
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2018 International Workshop on Nonlinear Circuits, Communications and Signal Processing, NCSP'18, Hawaii, USA.
巻: 2018 ページ: pp. 208-211
電気学会論文誌C
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