研究課題/領域番号 |
16K01588
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研究機関 | 埼玉県産業技術総合センター |
研究代表者 |
半田 隆志 埼玉県産業技術総合センター, 戦略プロジェクト推進担当, 主任 (20639679)
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研究分担者 |
亀ヶ谷 忠彦 東北福祉大学, 健康科学部, 講師 (90455949)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | シーティング / 座位姿勢 / 除圧動作 / 褥瘡 / 計測 |
研究実績の概要 |
本年度は、研究の最終的な目標(座位姿勢の違いが、「除圧動作の効果」に与える影響を解明する)を達成するための「座位姿勢計測手法の確立段階」と位置づけ、昨年度の研究をふまえ、「座位姿勢計測手法を確立するための、健常者を被験者とした妥当性の評価」等に着手した。その結果、主に以下の成果を得ることができた。 (1)座位姿勢計測における問題の明確化と、その対応策の提案:座位姿勢の計測箇所等を規定した国際規格ISO 16840-1では、被計測者の右ASIS(右上前腸骨棘)と右PSIS(右上後腸骨棘)を結んだ「矢状面骨盤線」の傾斜角度を計測することとされている。しかし、実際は、(特に臨床においては)車椅子のバックサポートと右PSISが密着していることが多いため、これの触診が困難であり、よって矢状面骨盤線の傾斜角度の計測も困難であることが明らかとなった。この問題に対する対応策として、「右ASISと右PSISを結んだ線」の代わりに、「右ASISと右大転子を結んだ線」を計測することを新しく提案し、その妥当性を評価した。特に健常成人20名を対象に「右ASISと右PSISを結んだ線」の傾斜角度と「右ASISと右大転子を結んだ線」の傾斜角度を比較したところ、両者には、強い相関がみられた。以上より、ISO 16840-1に従った座位姿勢計測においては、矢状面骨盤線として「右ASISと右大転子を結んだ線」の傾斜角度を計測することも妥当であることを明らかにできた。 (2)RGB-Dカメラを用いた座位姿勢計測システムの改良 座位姿勢計測を容易かつ正確に実施できるようにするため、企業と協力して、RGB-Dカメラを用いた座位姿勢計測システムに対して、新しい機能を複数追加した。特に、「車椅子等に隠れた身体ランドマークを自動的かつリアルタイムに特定する機能」を追加できたことは、次年度以降の研究に有用なものとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述のとおり、座位姿勢計測における問題の存在を明らかにするとともに、その対応策を提案できたこと、またRGB-Dカメラを用いた座位姿勢計測システムについて新しい機能を追加できたことから、次年度に実施する予定の研究(座位姿勢の違いが、「除圧動作の効果」に与える影響を解明する)の遂行にあたっての課題を概ねクリアすることができた。なお、いくつかの座位姿勢計測機器に対しては、その計測の信頼性評価・妥当性評価が十分には完了していないことから、次年度は、これらも実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、次年度は、高齢者もしくは障害者を対象とした計測を実施して、「座位姿勢の違い」が、「除圧動作の効果」に与える影響を定量的に評価する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、「座位姿勢計測手法の確立段階」であり、座位姿勢計測機器を複数購入する計画であったが、「RGB-Dカメラを用いた座位姿勢計測システム」の機能追加を優先したため、未購入となったものが発生し、それにより、次年度使用額も生じた。上述のとおり、次年度は、その他の座位姿勢計測機器を購入し、その計測の信頼性評価・妥当性評価を実施する予定であるが、次年度使用額は、それら座位姿勢計測機器の購入費にあてる。
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