研究実績の概要 |
2022度も新型コロナウィルス感染症から子どもたちを守るために測定を実施しなかったが、思春期の子ども(Tanner scale > 1.0)における骨格筋体積・量の推定式を作成する前段階として、思春期前の子どもを対象に開発した式が適用可能かどうかを検討した。 超音波Bモード法で測定した全身9部位(腕:前腕・上腕前後、体幹:腹部・肩甲骨下部、大腿:大腿前後、下腿:下腿前後)の筋厚をパラメータとした思春期前の子どもを対象とした式(Midorikawa et al., British Journal of Nutrition, 2015)を用いた場合、12~14歳の男子(n = 7)においては、全身および部位別(腕、体幹、大腿、下腿)の骨格筋体積が過小評価される傾向にあった。一方、12歳の女子(n = 6)においては、全身骨格筋体積で実測値と比較して推定値が低い傾向にあったが、部位別の骨格筋体積は推定値と実測値との間に有意差は観察されなかった。 また、二重エネルギーX線吸収法で測定した四肢や体幹の除脂肪軟組織量(全体量から脂肪量と骨塩量を除いた量)をパラメータとした思春期前の子どもを対象とした式(Midorikawa et al., European Journal of Clinical Nutrition, 2017)が思春期の子どもに適用可能かについても確認した。その結果、12~14歳の男子(n = 9)の体幹部と12~15歳女子(n = 9)の腕部に過大・過小評価される傾向が観察されたものの、その他の部位および全身骨格筋量には有意差が認められなかった。 今後、思春期にある子どもに協力を得てデータ数を増やした上で、思春期前の骨格筋体積・量の推定式が適用可能かを判断し、必要があれば、思春期に特化した推定式の作成を行う方向で研究を進める予定である。
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