研究実績の概要 |
平成28年度は、50歳代15名(男性5名,女性10名)、60歳代23名(男性12名,女性11名)、70歳以上29名(男性15名,女性14名)を対象に、10回連続いす立ち座り運動における、各年代のパワー(速度)の特徴について明らかにするため、立ち上がり時の各回数における速度推移を分析した。その結果、1回目の値は年代間で差が見られないものの、2回目以降は50歳代が、60歳代や70歳以上よりも立ち上がり速度が速くなることが明らかとなった。また、すべての年代で2回目に立ち上がり速度が上昇し、その後3回目から10回目まで大きな差が認められなかった。以上の結果から、60歳以降にいす立ち座り運動の2回目以降の立つ速度が顕著に低下すること、高齢であっても自体重負荷での連続10回いすの立ち座り運動において筋疲労と考えられる速度低下によるパワー減少がなく、パワー評価のための体力測定あるいはトレーニングツールとして有用であることが示された。 2回目以降立つ速度が顕著に低下する60歳以降を対象に、年代間の反動動作の影響を検討するため、連続10回の動作を行った際に、各回で座る速度が立つ速度にどのように影響を及ぼすか検討した結果、60歳代(22名:男性12名,女性10名)よりも70歳代(13名:男性13名,女性10名)の座る速度が有意に遅く、相関分析により男女ともに60歳代では座る速度と立つ速度とに相関関係が認められるものの、70歳代では、最初の反動動作となる1回目の座る速度と次の立つ速度とに相関が認められなかった。以上の結果から、70歳代以降では座る動作が低下するとともに、座る動作を立つ動作に転換できずに反動動作が使いにくくなることが示唆された。
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