研究課題/領域番号 |
16K01615
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
吉田 伊津美 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (30335955)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 運動能力 / 乳児期 / 基本的生活習慣 / 生活環境 / 幼児期 |
研究実績の概要 |
本研究は、幼児期の運動能力改善のために、乳児期の運動獲得及び基本的な生活習慣の形成等と幼児期の運動能力との関係を明らかにすることを目的とした。今年度は以下の2つの調査を行い、各調査項目の基礎集計及び協力園にフィードバックを行った。①幼児の運動能力検査:幼稚園5園、保育所2園の4、5歳児クラスの幼児計414名を対象に、MKS幼児運動能力検査5種目を実施した。②乳児期の運動発達及び生活習慣等調査:乳児期の運動獲得状況、生活環境、基本的生活習慣の形成等に関する質問紙を作成し、園を通して保護者に配布、247名より回答を得た(回収率60%)。 乳児期の運動獲得では、首すわり、寝返り、一人すわり、はいはい、つかまり立ち、つかまり歩き、一人立ち、一人歩きについては、開始月齢の回答率が高く(83%以上)、ほとんどの保護者はこれらの獲得時期を把握していた。これらは乳児の運動通過率(厚生労働省,2012)とほぼ同様の結果であった。これに対し、走る、階段昇降、片足立ち、三輪車に乗る、スキップ、両足跳び、投げるなどの動きは、開始月齢を不明とする回答率が高く(30%~70%)、保護者の認識は低かった。またこれらの回答の有無とスキップ、走る、自転車等いくつかの動きとの間に関連が見られ、獲得時期を不明とする保護者の子どもの運動能力は低く、把握していた群で運動能力が高かった。このことから乳児期の動きに対する保護者の認識が幼児期の運動能力に関係していることが示唆された。 乳児期に自転車に乗ったり屋外での遊ぶ頻度が高く、またきょうだいを含む異年齢の子どもとの関わりが多かった子は幼児期の運動能力が高かった。一方、運動能力の低い幼児は乳児期にTVやDVDの視聴頻度が高かった。 運動能力の高い幼児は低い幼児に比べて昼間のおむつが取れる時期が早く、生活習慣の形成においても有意な差が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究計画は以下の通りであった。 1. 幼児の運動能力検査(対象予定園6園) 2.乳児期の運動発達等調査 3.基礎集計と協力園への運動能力検査結果のフィードバック 対象は、幼稚園、保育園、計7園であった。質問紙の回収率の低かった園もあったが、おおむね予定通り調査を実施、基礎集計と結果報告を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
幼児期の運動発達と乳児期の運動発達及び基本的生活習慣の形成(自立)との関係を縦断的データから明らかにするため、2017年度は運動能力検査の2年目のデータを収集する。また、乳幼児期の基本的生活習慣の形成に関する調査を保護者を対象に行う2016年度調査を依頼した園での継続調査のため、計画通り実施の予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
対象園への協力謝金を計上していたが、対象が公立園であったため謝金の授受が出来ず謝金が発生しなかった。また、運動能力検査の実施に測定補助謝金を計上していたが、天候などの都合で園だけでの実施となり、補助員の人件費が発生しなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
3年目に計画している保護者向けの研究成果リーフレットを充実させ、広く還元するための経費に充てる。
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