最終年度は、乳幼児期の運動機能獲得時期と生活環境との関係の分析、及び保護者の動きの認識等に関する調査と研究成果等の活用と有効性の検証を行った。 運動機能獲得時期には、主な育児スペースが関係しており、6畳未満の家庭において片足立ち、片足跳びなどの獲得時期が早い子どもの割合が高かった。またつかまり立ちやつかまり歩き、ひとり歩きなどは母親やきょうだいなど異年齢との関わりの多い方が獲得時期が早かった。 本研究の成果を保護者に還元すると共に、効果的な活用を明らかにするために本研究成果を掲載したカレンダーを作成し保護者に配布した。その結果、保護者の認識の変容や理解の深まりがみられた(動きに対する理解、乳幼児期に体を動かすことの大切さ、外遊びの習慣、親子遊びの取組など)。また「大変興味深かった」「もっと早く知りたかった(5歳児保護者)」などの感想があり、早期からの啓発や情報提供の必要性が明らかとなった。 本研究の目的は、幼児期の運動能力改善のために、乳児期の運動獲得及び基本的な生活習慣の形成等と幼児期の運動能力との関係を明らかにすることであった。乳幼児期の運動機能獲得時期の早い方が幼児期の運動能力向上の変化量が大きく、乳幼児期の運動機能獲得時期が幼児期の運動能力の変化量(運動発達の伸長)に影響を与えている可能性が示唆された。また生活習慣の形成においては、排せつ習慣の形成の早い子は幼児期の運動能力が高い傾向にあった。さらに、保護者の幼児期の動きの認識は高いとはいえなかったが、乳幼児期の運動機能獲得には母親やきょうだいなど身近な人との関わりの頻度が関係していたことから、幼児期の動きに対する身近な養育者の理解を高めることの必要性が指摘された。 本研究の成果は、乳児期の運動発達の重要性を示す根拠の一つになると共に、乳幼児期に必要な生活・保育環境、子どもとの関わり、運動の在り方に示唆を与えるものである。
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