研究課題/領域番号 |
16K01619
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
大後戸 一樹 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (20632821)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 体育科授業 / 観察運動学習 / ICT / 学習評価 / 2画面比較映像 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,小学校体育科における評価の観点である「思考・判断」の学習評価を行うために,ICT機器を活用した動画テストを開発することである.「思考・判断」するためには「知識」が必要であり,この「知識」に基づいて思考し,運動のよしあしや課題が判断できるのだと考えられる.そこで,教材の技術ポイントに関する「知識」に基づいて運動技能レベルの段階を示したビデオ映像を用いて,児童が運動のよしあしや課題を「思考・判断」する動画テストを開発し,その有効性を検証する。 そこで,平成28年度においては,「動画テストの開発」と「授業実践①の実施と資料の収集」を行った.まず,平成27年度に試行した第4学年のマット運動の授業データの分析を行った。その結果,「教師が指導したこと」については,「1画面映像による自己評価」でも「2画面比較映像による自己評価」においても,児童が自己評価を行う際に「教師が指導したこと」を評価の観点として活用していたころが推察された。この中でも,教師がもっとも重点的に教えたいと考え,ほぼ全時間を通して継続的に教師が提示した運動課題を中心に自己評価をしていたことが推察された。本成果については,日本スポーツ教育学会第36回大会において発表を行った。 その後,この成果をもとに,研究協力校の体育担当教師,及び器械運動の専門家である連携協力者とともに,授業計画と動画テストを開発した。当初4画面同時に再生する動画テストの作成を予定していたが,授業対象が第3学年となったことを考慮し,2画面での動画テストに修正し,F小学校第3学年2クラスで授業実践①を実施し,データを収集した。現在,授業実践①については分析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は,研究課題①の「動画テストの開発」と「授業実践①の実施と資料の収集」を行うことができた. まず,動画テストの開発に向けて,授業において学ばれた「知識」と,動画テストによって運動のよしあしや課題を「思考・判断」した内容との関連を明らかために,平成27年度に試行した第4学年のマット運動の授業データの分析を行った。 その後,研究協力校の体育担当教師,及び器械運動の専門家である連携協力者とともに,授業計画と動画テストを開発した。当初4画面同時に再生する動画テストの作成を予定していたが,授業対象が第3学年となったことを考慮し,2画面での動画テストに修正し,F小学校第3学年2クラスで授業実践①を実施し,データを収集した。また,日程等の理由から3校での実施ができなかった点について来年度は改善する必要がある。現在,授業実践①については分析中である。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は,授業実践①の分析をもとに,研究課題②の「動画テストの改善」と「授業実践②の実施と資料の収集」を行うことである. そこで,まずは授業実践①の分析を行う。その後,研究協力校の体育担当教師3名とともに,調査の対象学年および調査時期を決定する.そして,4段階に分けて運動技能レベルを示している映像を選定し動画テストを改善するとともに,授業で扱う教材の中心的な技術ポイントを明確にしつつ,授業実践②の授業計画を検討する.現段階では,各校の第3学年2クラス,計6クラスにおいて,跳び箱運動の「台上前転」の授業実践に向けて,日程を調整中である。 その後,研究協力校3校において授業実践②を実施する.授業データの収集は,平成28年度と同様に授業のビデオ撮影,授業中もしくは授業後のインタビュー,全授業における児童に記述させた感想カードを収集する.最終的に,単元最後の授業において開発した動画テストを用い,その回答のすべてを複写し資料として収集する. 授業実践②で収集した資料については,平成29年度中にデータ化を終え,分析を行う予定である.具体的には,個々の感想カード及びテストでの記述をテキストデータ化し,ナンバリングをして整理する.
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