研究課題/領域番号 |
16K01628
|
研究機関 | 北海道科学大学 |
研究代表者 |
稲垣 潤 北海道科学大学, 工学部, 准教授 (50337052)
|
研究分担者 |
春名 弘一 北海道科学大学, 保健医療学部, 講師 (00712168)
中島 寿宏 藤女子大学, 人間生活学部, 准教授 (10611535)
昆 恵介 北海道科学大学, 保健医療学部, 准教授 (30453252)
佐藤 洋一郎 北海道科学大学, 保健医療学部, 講師 (20433518)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 運動学習 / Kinect / 教育工学 |
研究実績の概要 |
運動は生活習慣病の罹患率や死亡率を下げ、高齢者においても寝たきりや死亡を減少させる効果があるといわれているが、幼少期に体育が不得手であった者は成人してからの運動習慣が低いといわれていることから、体育授業の質の向上は高齢者の介護負担の抑制につながる長期的方策の一つであるといえる。しかしながら、学習者は運動の成功・失敗は知り得ても、自身の運動の過程を客観的に理解することはできず、模範的動作の習熟は困難な現状にある。本研究は、小学校・中学校の体育授業における運動学習場面を対象とした、MicrosoftのKinect for Windowsセンサーを用いた低コストで簡便な児童生徒の運動学習支援システムの開発を目的としている。平成29年度は、大きく分類して2つのフェーズで研究を行った。 まず、平成28年度に開発したソフトウェアのプロトタイプに対し、学生に実際にソフトウェアを使用してもらった上で意見聴取を行った。その結果、「複数の運動者の動きを重ね合わせて比較したい」「記録したスティックピクチャの同期を取る機能がほしい」といった意見の他、共同研究者からは「肩回旋の角度や身体各体節がなす角度を可視化したい」「小中学生向けにアイコン等を用いたインタフェースとしたい」といった要望が上がり、今年度はこれらの機能を実装した。 一方、平成29年度中盤にKinectが販売中止となったことから後継機種の検討を行ったが、現段階では飛びぬけて有望と思われるデバイスが挙げられないため、今年度の開発はKinectを使用した上で小規模なものにとどめ、平成30年度にデバイスの選定とソフトウェアの移植作業を含め本システムの完成を目指すこととした。 該当研究における平成29年度の研究発表業績は査読付論文1件、国内学会発表2件である。現在は、平成29年度に開発したソフトウェアの実地評価を行うべく準備を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度の計画は、体育授業におけるカメラ位置・運動方向等のパラメータ設定であったが、本年度中盤にマイクロソフト社からKinectの販売中止が突如発表され、後継デバイスに移植する必要が生じたため、これを平成30年度に延期することとした。一方で平成30年度に実施予定であったインタフェース関連の開発等、デバイスに依存しない部分については平成29年度に前倒しして実施することにより、研究の遅れを最小限にとどめることとした。上述の外的要因を除けば研究計画は順調に推移している。
|
今後の研究の推進方策 |
開発したソフトウェアを教育現場において教諭および生徒に実際に使用してもらい、その結果のフィードバックを受けてソフトウェアの改良を行うとともに、後継デバイスへの移植や、カメラ角度等のパラメータの設定や対象運動種目の検討を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
「研究実績の概要」欄でも述べたが、本研究テーマ遂行の大前提であるKinectの販売中止が10月に発表され直後に入手不可能になったため、システムの完成には後継デバイスへの移植が必要となった。研究期間の半分ほどをKinectで開発していたこともあり、平成29年度はKinectデバイスで小規模な開発を行うにとどめ、平成30年度に後継デバイスを選定した上で移植ならびに機能追加を行う方針を立てた。従って、平成30年度は開発に係る経費が大きくなることが予想されたため、平成29年度の支出を抑制せざるを得ない状況が生じた。
|