| 研究課題/領域番号 |
16K01632
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| 研究機関 | 早稲田大学 |
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研究代表者 |
野口 穂高 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 准教授 (60434263)
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| 研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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| キーワード | 野外教育 / 教育史 / 林間学校 / 臨海学校 / 郷土教育 |
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| 研究実績の概要 |
本研究は、昭和初期の郷土教育運動下において小学校等が実施した「野外教育」について、地域性を活かした活動に着目して比較史的に分析し、意義を明らかにするものであった。平成29年度は、前年度に引き続き各実践について、個別に資料調査と分析を行うとともに、収集資料の分析を進めた。資料調査では、当時の書籍や雑誌・新聞記事など、野外教育の概要や実践の内実について記載されている史料の収集を重視し、現在も収集を継続している。
分析では、個別実践について、実施理由、各実施主体の思想や教育論、実際の活動等を考察した。さらに、上記の分析の成果を比較史的に検討し、各地域における実践の地域的特色を明らかにできるよう研究を継続している。調査と分析により、昭和初期の郷土教育において、野外での活動を通じて地域の産業調査や史蹟の調査、地誌の作成をするなど、一定の地域性を有する活動が展開されていることが明らかになった。今後は、これらの各実践の特質の比較史的分析を継続するとともに、昭和初期の野外教育の特色を総体的に明確にすることを目指す。
その他、大正期から昭和初期の野外教育について連続性を検討し、成果を学会誌に投稿し、現在査読中である。大正期の野外教育は、虚弱児童向けの林間学校を中心に、定型化したプログラムで実践された。一方で、社会事業家による児童保護事業など、多様な職種の人々が参画し、その内部において様々な問題意識や視点から教育方法・教育環境を改善する意図をもって実践が展開された点も特徴である。この児童保護事業との関連については、成果の一部を学会誌に発表した。さらに、昭和初期に虚弱児童の養護に関する研究や衛生制度が拡充したことにより、野外教育も、衛生関連の実践と、主に学習面での教育を目的とする実践に分岐していく。結果、昭和初期以降は郷土教育運動と結びつきながら、野外での教育が実施されることになったといえる。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画通り、富山県、埼玉県、山梨県など、各地域における個別の野外教育実践の資料調査を継続し、必要な資料を収集することができた。さらに、資料について分析を進め、野外教育の理論や実際、その社会的な背景について明らかにするなど、一定の成果を出すことができている。また、昭和初期の児童保護事業との関連など研究成果の一部については研究業績欄の論文として発表するとともに、別の学会誌にも投稿し、現在査読中である。
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| 今後の研究の推進方策 |
今後は、昭和初期の郷土教育運動下の野外教育について、個別実践を対象とする資料調査と分析を継続するとともに、これまで蓄積した成果をもとに、各実践における野外教育の思想・理論・活動について、地域的な差異や共通性に注目しながら、比較史的な分析を進める。これらの分析を通じ、各実践の固有性や独創的な点、共通する点を明らかにする。そして、最終的には、昭和初期の野外教育実践について総体的な検討を進め、その特質を明らかにするとともに、その成果を学会にて発表するとともに、報告書としてまとめる予定である。
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