本研究は、昭和初期の郷土教育運動下において実施された野外教育の特質を検討した。結果、1930年代に郷土教育が推進されるなかで、地域の生活・産業調査、史跡調査、地誌作成など、野外での探求的活動が多数実施されたことが確認できた。また、郷土教材の活用により、一定の地域性を有する活動が展開されたことは、総体的にみた昭和初期の野外教育の特質に地域性を強く付与することになった。さらに、郷土教育を実施するうえで教員らの地域研究が進展し、地域を教育活動の場として位置付け、再検討することにもなった。この結果、昭和初期には教育環境の研究が活性化し、これらの研究に支えられて特色ある野外活動が展開されたといえる。
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